世界的市場急落が続く中、ウォーレン・バフェットのポートフォリオも影響を受けたが、S&P500が年初来で14%下落する中、バークシャー・ハサウェイ株は8%の上昇を維持している。注目すべきは、その中でも安定性を保つ銘柄としてドミノ・ピザ(NYSE: DPZ)が浮上している点である。
ドミノ・ピザの株価は、混乱が本格化した3月中旬からほぼ変動せず、2024年Q1には売上高59億ドル、EPS4.89ドルを記録し、いずれも前年を上回った。さらに15%の増配を発表し、堅調な経営体質を裏付けた。
同社は店舗数でピザハットを上回る7,053店を展開し、DoorDashとの提携も進行中。消費環境が厳しい中でも、安定収益と成長を両立するモデルとして、バフェットが信頼を寄せる構図が鮮明になりつつある。
ドミノ・ピザが示した堅調な業績と成長戦略の全貌

2024年第1四半期、ドミノ・ピザ(NYSE: DPZ)は売上高59億ドル、1株当たり利益(EPS)4.89ドルを記録し、前年同期比でそれぞれ4.4%、9%の増加となった。加えて、四半期配当も15%引き上げて1.74ドルとし、株主還元への姿勢を明確にしている。これらの数字は、同業他社が苦戦する中で同社が一貫して成長軌道を維持していることを物語る。
ドミノの強さは単なる財務指標にとどまらない。CEOラッセル・ワイナーが掲げる「Hungry for MORE」戦略が功を奏し、厳しいマクロ経済環境下でも堅実な注文数の成長を実現している。また、世界展開にも注力しており、グローバルに7,053店舗を展開。これは競合のピザハット(6,739店舗)を上回る規模であり、供給網の広さが業績の下支えとなっている。
さらに、北米最大の地域配送サービスであるDoorDashとの連携も視野に入れることで、ラストワンマイルの配送体制を強化。フードデリバリー市場における競争力を維持しつつ、新規顧客層へのリーチを広げようとしている。これらの施策は、単なる短期的な防御策ではなく、長期的視点に立った収益構造の強化と読み取れる。
バフェットがドミノ・ピザに寄せる信頼の構図
ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2025年4月時点で3,440億ドルもの現金を保有しており、次なる買い場を模索しているとの観測が強まっている。こうした中で、ポートフォリオに組み込まれているドミノ・ピザが、激しい市場変動の中でも株価を維持し、9%の年初来上昇を示していることは注目に値する。
特に3月17日以降の相場急落局面においても、同社株は441ドルの水準を安定的に保っている。この安定性の背景には、ファストフード業界の中でも家庭消費に強く、価格変動や原材料高騰といったマクロリスクへの耐性が高いビジネスモデルがあると考えられる。
さらに、安価で手軽に楽しめるピザという商材の特性が、景気後退時の消費行動と親和性を持つ点も見逃せない。消費が抑制される局面でも需要が落ちにくい構造は、バフェットの「安全域」に対する哲学と合致する。
加えて、バークシャーの他の保有銘柄が軒並み打撃を受ける中、ドミノが底堅さを見せているという事実は、今後の資金投入先を選定するうえでも示唆に富む。現金比率の高さが語られる中、バフェットが既に選んでいるドミノ・ピザという選択肢は、市場の混迷期における“静かなる羅針盤”と呼べるかもしれない。
Source:24/7 Wall St.