「自分には特別な才能がない」と語るウォーレン・バフェットは、バークシャー・ハサウェイの株価を約25年で1300%以上上昇させ、市場平均を大幅に上回ってきた。彼の手法は、目利きよりも「良い企業の株を買い、持ち続ける」ことに徹した極めてシンプルなものである。
S&P500のようなインデックス投資でも、長期で保有すれば資産形成は可能であり、才能の有無にかかわらず実行できる点が示されている。重要なのは、投資を始めるタイミングと貯蓄の継続性であり、それが最終的なリターンを大きく左右する。
市場平均の力を味方につけるという思想は、バフェットが2024年の年次報告書でも強調した通り、特別なスキルに頼らずして成果を得る道を照らすものである。
バフェットが語る「才能不要論」が示す投資の本質

ウォーレン・バフェットはバークシャー・ハサウェイを通じて2000年以降、株価を1300%以上押し上げてきたが、自身は「絵も描けず、野球もできず、専門スキルも持たない」と繰り返し述べている。この発言は、自らの成功を過度に神格化することなく、株式投資が「一部の特権層」だけの手法ではないことを強調する意図に基づく。実際、S&P500のような指数に長期で投資し続けた者も、同様に高いリターンを享受している。
2000年にS&P500のETFへ1万ドルを投資していれば、2025年には配当込みで6万ドル超となっていた。しかも必要だったのは一度の投資と長期保有だけである。これはバフェットが語る「特別な才能は不要」という主張を裏付ける具体例であり、一般の個人でも同様の手法を取り入れる余地を示している。
バフェットの発言を額面通りに受け取るべきではないという意見もある。彼が何十年にもわたり市場と対話を続け、厳選された企業に投資してきた眼力と胆力は、決して凡庸なものではない。しかし、彼の強調点は、少なくとも市場に対して「参加し続ける意志と継続性」があれば、成功は遠い存在ではないという事実にある。
「インデックスに頼れ」と語る理由と資産形成の構造
バフェットは生前の数々の発言で、個別株よりもS&P500への投資を推奨してきた。とりわけ一般投資家には、安定かつ長期的な成長を見込めるインデックスこそが最良の手段であると説いている。リーマンショックやパンデミックといった激動の局面を経ても、S&P500は一貫して右肩上がりのトレンドを維持しており、時代の荒波を乗り越える力を証明してきた。
また、配当の再投資を行うことで、複利の力が資産形成を加速させるという点も無視できない。たとえば、2000年以降S&P500に継続的に積立投資を行っていれば、誰でも着実に資産を増やすことができた。こうした仕組みは、才能よりも「開始時期」と「継続力」の方が結果を大きく左右することを物語っている。
一方で、バークシャー・ハサウェイのように配当を出さず内部留保を再投資に回す企業の存在も無視できない。バフェットが長期で保有する企業の多くも、内部資本を活用し続けることによって、資本効率を最大化してきた。つまり、配当の有無に関わらず「資本の時間的成長」に着目することが、投資戦略の核心をなしている。これは投資が技術ではなく「構造」に依拠していることを意味している。
Source:The Motley Fool