暗号資産関連投資に積極的なARKインベストメント・マネジメントが、米株式市場の急落を受けてCoinbase株を8万3,000株以上追加取得した。取得額はCoinbaseの終値を基準に1,300万ドル超に上り、ARKの主力ETFであるARKKを中心にARKW、ARKFからも買いが入った。
今回の買い増しは、ドナルド・トランプ大統領による報復関税発表を引き金とした市場全体の動揺に伴い、Coinbase株が12%以上下落した直後の動きである。同期間における暗号通貨市場の下落幅が限定的だったことも、ARKの判断材料となった可能性がある。
市場の不確実性が増す中で、ARKは暗号資産関連銘柄への長期的な成長期待を背景に攻めの姿勢を崩していない。
ARKの買い増しの内訳と市場環境の連動性

ARKインベストメント・マネジメントは2025年4月4日の取引で、Coinbase株式を複数のETFを通じて合計8万3,000株以上買い増した。内訳としては、主力ファンドであるARKイノベーションETF(ARKK)が約5万5,000株を取得し、次世代インターネットに焦点を当てたARKWおよびフィンテック領域を狙うARKFもこれに追随するかたちで残りの株式を取得している。取得総額はCoinbaseの金曜日の終値ベースで1,300万ドル超に達する。
この動きは、米国市場全体がドナルド・トランプ大統領の報復関税発表を受けて動揺し、S&P500をはじめとする主要指数が下落したタイミングに一致する。Coinbase株自体も12%以上下落したが、ARKはこの局面を買いの好機と見なしたとみられる。CD20指数が5.8%の下落にとどまったように、暗号資産市場全体は一定の耐性を見せた。ARKは過去にも市場の混乱時に積極的な買いを見せており、今回もその一環と解釈される。
市場参加者にとっては、短期的なボラティリティよりも構造的な成長性に注目すべき局面であるとの含意を持つ動きであり、ARKの一貫したスタンスが再確認された事例といえる。
ARKの暗号通貨戦略とCoinbase選好の背景
ARKが一貫してCoinbase株に強気姿勢を貫いてきた背景には、単なる価格反発狙い以上の戦略的視点が存在する。Coinbaseは米国上場企業として、暗号資産の流通と管理の両輪を担う市場の中心的存在であり、特に規制強化が進む中で、合法性・透明性を備えたインフラとしての役割が増している。ARKはこの点に着目し、中長期的な成長期待を織り込んでポートフォリオを構築していると見られる。
今回のような株価急落局面においても買いを入れる姿勢は、ARKが価格の短期的変動をノイズと捉え、むしろ割安局面と判断した可能性を示唆する。暗号通貨そのものではなく、取引所というプラットフォームに焦点を当てることで、資産のボラティリティを相対的に抑えつつ、エコシステムの成長に連動するリターンを狙う狙いもうかがえる。
Coinbaseが持つブランド力、ユーザーベースの拡大、及び今後の収益多角化の可能性なども、ARKにとっては魅力的な評価軸となりうる。市場全体が揺れる中での選好銘柄として、Coinbaseが引き続き中核を担う位置づけであることが読み取れる。
Source:CoinDesk