MicrosoftがWindows 11の最新ビルドでスタートメニューの大規模再設計を導入した。これまでの2分割レイアウトを廃止し、ピン留めアプリと推奨項目、全アプリリストをスクロール可能な1画面に統合。操作性が大きく向上したことに加え、CopilotやAI関連機能も多数アップデートされ、より直感的な体験が可能になっている。
また、創立50周年を迎えたMicrosoftは、記念壁紙や歴代CEOによる特別イベントを開催し、Copilotの新機能を披露。Windows 11はユーザー比率で過去最高を更新し、特にゲーマー層ではWindows 10を上回る普及を見せている。進化するWindowsの中心にあるのは、利便性とAIによる日常の最適化である。
新スタートメニューの再設計がもたらす操作性の変化

Windows 11のDevおよびBetaチャネル向けに展開された新スタートメニューは、これまでの2段構成を廃し、スクロール可能な1画面に集約されたレイアウトが特徴だ。従来は「すべてのアプリ」ボタンを押してリストを展開する必要があったが、今回のアップデートではピン留めアプリ、推奨項目、そしてアプリリストを一画面に配置することで、手間が大きく削減された。これにより視線の移動やクリック数が減り、特にタッチ操作環境での恩恵が大きい。
加えて、タスクバーのアイコンサイズ変更やファイル共有の改善など、細やかなUIの改良も併せて導入されている。これらの変更は、ユーザーから寄せられた長年のフィードバックをもとにした結果とされ、利用者の実感に即した進化である点が注目に値する。今回の再設計は、見た目の刷新だけでなく、日常的な操作性の質を底上げする取り組みと捉えられる。
Copilot機能の進化が示すAI統合の新段階
Microsoftは創立50周年の節目に、Copilotの複数の新機能を発表した。「Copilot Memory」「Copilot Vision for Windows」「Copilot Podcasts」「Copilot Search」「Copilot Avatar」といった機能群が追加され、Windows環境におけるAIの役割がさらに広がった。中でも「Memory」は文脈理解を支えるコア技術として位置づけられ、継続的なタスク管理や履歴に基づく支援を強化するものとされる。
この他にも、Live Captionsによるリアルタイム字幕生成や、Paint Cocreatorの画像補完など、視覚・音声の両面での支援が進化している点は大きい。AIとの協働が自然な操作体験として根づきつつある現状を見ると、OSレベルでのAI統合がもはや実験段階ではないことが明白である。とはいえ、現時点ではこれらの機能の恩恵を受けられるのは主にCopilot+ PCに限定されており、対応環境の拡大が今後の普及の鍵となる。
Windows 11の普及率上昇と残された課題
2025年3月時点の統計によると、Windows 11のシェアは42.66%と過去最高を更新し、Windows 10は54.23%にまで低下した。特にValveの報告では、ゲーマーの間でのWindows 11の使用率が55.34%と優勢に転じており、Windows 10の40.58%を上回っている。サポート終了が近づく中で、こうしたシフトは加速度的に進行している。
一方で、Windows 11の導入には依然として障壁も存在する。オフラインインストールを阻む仕様変更や、Microsoftアカウントの強制といった要件は、一部のユーザーにとって受け入れがたい設計変更と受け取られている。また、特定の新PCでインストールがブロックされる事例も確認されており、安定性と互換性の両立が求められる段階にある。利便性とセキュリティを天秤にかける設計哲学の中で、誰もが納得できるアップグレード体験を実現するには、さらなる配慮が不可欠といえる。
Source:Neowin