Appleが開発中とされる折りたたみ型スマートフォン「iPhone Fold」が、従来のiPhoneとは異なるコンセプトで登場する見通しだ。著名アナリストのミンチー・クオによれば、Galaxy Z Flipに似たクラムシェル型で、展開時の画面は約7.8インチとタブレットに迫るサイズになるという。

予想価格は2,000ドル超とされ、既存のiPhone 16 Proを大きく上回る高価格帯に位置づけられる。耐久性や可動部の脆弱性が課題とされる中で、大衆市場向けではなく、先端技術志向の層に向けた限定的な展開になる可能性が高い。

Appleはこれまでも主力製品を壊すのではなく、補完する形で新技術を取り込んできた。Foldも同様にiPhoneやiPadの代替ではなく、新たな「選択肢」としてAppleエコシステムの中に組み込まれていくことが見込まれる。

折りたたみiPhoneは主力機種の代替ではなく拡張的選択肢

2025年3月にアナリストのミンチー・クオが指摘した「iPhone Fold」は、約7.8インチの大画面を備えた縦折り型クラムシェルデザインを採用するとされる。この仕様はSamsung Galaxy Z Flipと類似しており、スマートフォンとタブレットの中間的存在としての可能性が示唆される。

ただし、Appleが長年培ってきたiPhoneシリーズの中心的立場を脅かす製品とは言い難く、むしろ高機能とプレミアム性を追求する新領域への橋頭保と位置づけられる。折りたたみ機構に伴う厚みや可動部の脆弱性、そして2,000ドルを超えるとされる価格は、日常使いを重視する多数派にとって現実的な選択肢とはなりにくい。

AppleInsiderのアンバー・ニーリーが指摘するように、テクノロジーへの熱狂を持つ一部の先進的ユーザーは注目するものの、広範な層への浸透は限定的と見られる。このことから、Appleの戦略は既存のエコシステムに「Fold」という新しいスタイルを追加するものであり、従来のiPhoneの地位を揺るがす動きではない。

これまでiPadがMacを、iPhoneがiPadを代替するとの見方は繰り返されてきたが、Appleは製品間の住み分けを丁寧に保ち、それぞれに固有の役割を持たせてきた。「破壊せずに革新する」という哲学のもと、iPhone Foldもまた既存機種の補完的存在としての立ち位置を保つことになるだろう。

耐久性と実用性に潜む課題が量産普及の壁となる

折りたたみ型スマートフォンの構造的特性として、ヒンジ部分やディスプレイ中央の折り目の耐久性が依然として課題とされている。Appleはこれに対し、SamsungやLG製の先進的ディスプレイ技術、そして強度の高い液体金属製ヒンジを採用するとの情報があるが、それでも完全な信頼性を確保できるかは不透明である。

実際、日常使用における落下や過度な開閉といった人為的リスクへの脆弱性は、通常のiPhone以上に深刻な影響を及ぼしかねない。Apple製品は一貫して高い品質基準を誇るが、可動構造の導入はこれまでの一体型デバイスにはない複雑さを伴う。

ニーリーが指摘するように、折りたたみ式という機構そのものが耐用年数や修理コストの観点で不安を残し、特にGorilla Glassを使用しているとはいえ、折りたたみ箇所の応力集中は完全には避けられない。2,500ドルとも言われる販売価格は、万一の損傷に対する心理的ハードルを一層高める要因となる。

したがって、技術的な革新性と引き換えに、実用性と耐久性への疑念がつきまとう点は否めない。製品としての魅力は確かにあるが、広範な市場における採用を妨げる要素として、構造的なリスクと価格帯のバランスが鍵となる。Foldの一般化には、これらの課題をいかに抑制・克服するかが重要な焦点となるだろう。

Source:AppleMagazine