OpenAIはChatGPT-4oの画像生成モデル「ImageGen」に対し、ウォーターマーク(透かし)の試験導入を開始した。無料ユーザーが生成した画像に識別可能な印を加えることで、AI生成物の出所を明示し、濫用防止や著作権問題への備えを強化する狙いがあるとみられる。
背景には、スタジオジブリ風アートをはじめとする高精度なビジュアル生成への関心が高まっていることがある。ImageGenは有料層に限定されていたが、現在は無料でも利用可能となっており、その普及と同時に透明性の確保が課題となっている。
今後、OpenAIはAPI提供を含むImageGenの機能拡張を予定しているが、透かし導入の恒久化は未確定であり、方針が変更される可能性もあると報じられている。
ChatGPT-4oのImageGenに透かし処理 無料ユーザー画像を対象にテスト段階へ

OpenAIは、ChatGPT-4oの画像生成機能「ImageGen」に関し、無料ユーザーが作成する画像に限定してウォーターマークの試験導入を始めた。AI研究者のTibor Blaho氏がこの動きを確認したとされ、OpenAIが公式に発表したわけではないものの、特定のアカウントにおいて透かし入りの画像が確認されている。ChatGPT Plus加入者にはこの制限は適用されず、無印画像の保存が可能な状態が維持されている。
この透かしの導入意図は、画像の出所を明示し、AI生成物と人間の創作物との区別を視覚的に明確化することにある。昨今、生成AIによるコンテンツの氾濫が懸念されており、誤用や悪用を防ぐ一手としてこのような識別措置が注目を集めている。スタジオジブリ風アートのような著名スタイルの模倣が広がる中で、創作物の信頼性を担保する必要性は日増しに高まっている。
このテストの実施は、OpenAIがImageGenの利用規模拡大を見越し、その規制設計に踏み込んだことを示していると解釈できる。ただし、最終的な恒久導入の有無については未決定であり、技術的・倫理的議論の余地を残す形で運用が試行されている段階にとどまる。
API提供構想とモデルの多用途性 開発者向け展開の兆し
OpenAIは、ImageGenモデルについて、将来的にAPIとして外部開発者にも開放する計画を明らかにしている。同社は過去の公式ブログにて、同モデルが大量の画像とテキストの対データで訓練されており、視覚表現における言語との一貫性と、画像同士の意味的関係を理解する能力を有していると説明している。これにより、美的側面だけでなく、実務に耐えうる精度と汎用性が付与されたとされる。
このAPI化構想が実現すれば、画像生成機能を自社製品やサービスに組み込む開発者にとって極めて強力な武器となる。ただし、著作権やデータの透明性に関する規律が整備されないままAPIが広く解放されれば、模倣や盗用の温床になるリスクも併存する。透かしのテスト導入がその布石と見る向きもあり、開発者コミュニティへの信頼構築と同時にリスク管理の両立が求められる段階に入っている。
また、ジブリ風のアートに代表されるように、生成される画像は一見して高い芸術性を帯びているが、データソースの詳細が非公開である限り、オリジナリティと倫理の線引きは不透明なままである。API展開に向けては、視覚的精度と法的整合性とのバランスをどう保つかが、今後の重要な課題となろう。
Source:BleepingComputer