世界最大のビットコイン保有企業であるMicroStrategy(現Strategy)は、50万BTC以上を抱え、仮想通貨相場と株価が連動する独自のポジションを築いてきた。2025年初頭、株価は年初来で2%上昇する一方、年初の高値からは約30%下落しており、投資家の視線が集まっている。
2024年第4四半期には総収益が前年同期比3%減、純損失は7億ドル超となったが、転換社債やATM発行など積極的な資金調達により、財務基盤の再構築を進めている。特に発行額合計250億ドルを超える戦略的な調達は市場で注目された。
アナリスト評価は強気で、12人中10人が「強い買い」と判断。平均目標株価は現在値から140%以上の上昇を見込んでおり、ビットコイン動向と並行して今後の値動きが試される局面を迎えている。
転換社債とATM発行で250億ドル超を調達 戦略的資本政策の全容

Strategyは2024年末から2025年第1四半期にかけて、前例のないスピードで資本を調達している。188億ドルに及ぶATM(At-The-Market)株式発行プログラムによる資金確保に加え、5回にわたる転換社債の発行により62億ドルを獲得。さらに、永久優先株「STRK」の発行で5億8400万ドルの収益を上げた。合計調達額は250億ドルを上回り、1年間で発行された転換社債としては過去10年間で最多となった。
このような資本政策の強化は、同社が仮想通貨の価格変動というリスクと向き合いながらも、柔軟性ある財務基盤を構築しようとする姿勢を示すものといえる。自己資本比率の改善やビットコイン追加取得の原資確保、株主へのリターン最大化といった複数の意図が背景にある可能性が高い。また、急落時の備えとして現金および現金同等物を積み増す余地も確保された形である。
本来ソフトウェア企業であった同社がここまで大胆な金融政策を打ち出した背景には、2020年以降のビットコイン集中投資方針と、資本市場における信用を武器とした企業体質への変貌がある。市場の評価が二極化する中、同社の財務施策は単なる仮想通貨プレイではなく、制度的投資家も注視する長期戦略として位置づけられる。
株価調整の背後にあるBTC依存構造と投資判断の分岐点
Strategy株は2025年初の高値から約30%下落したが、年初来ではプラス圏を維持している。この乖離は、同社の株価がビットコイン相場と連動する構造を色濃く反映している。2025年4月上旬、BTC価格は一時88,000ドルに達したものの、その後83,000ドル近辺に調整。一連の急騰と反落には、ドナルド・トランプ前大統領による最大50%の関税発表が大きな影響を与えた。
株式市場におけるStrategyの評価は、もはや業績や収益成長にとどまらず、ビットコインの金融資産としての動向に大きく依存している。直近の決算では総収益が3%減、純損失は7億ドルを超えたが、株価の調整幅はそれ以上のインパクトを見せている。投資家にとって同社株は、単なる企業の株式ではなく、ビットコイン先物に類似した価格連動資産となっているのが実情である。
このような構造的特性は、短期的な変動リスクを伴う一方、仮想通貨市場が再上昇局面に入った際には株価が強く跳ね返す可能性をはらんでいる。アナリスト12人中10人が「強い買い」を継続していることは、一定の信頼性を持った需給バランスを示唆するが、BTCと乖離した独立評価を得るには、ソフトウェア事業の収益性や新規展開の具体化が不可欠であろう。
Source:Barchart.com