MSI GAMING TRIO RTX 5090とCorsair SF1000L電源の組み合わせで、再び12V-2×6電源コネクタの焼損が報告された。今回の構成ではオーバークロックは行われておらず、使用されたのはATX 3.1準拠の純正ケーブルのみ。安全とされていたネイティブケーブルを使用していたにも関わらず、GPUおよび電源ユニット双方に明らかなダメージが発生した点が注目される。
RTX 5090発売以降、この種の溶解トラブルは全体で5件と少数にとどまっているが、原因に共通性は見られない。熱設計や接続仕様の想定外のリスクが疑われる一方で、ユーザー側の誤操作がない場合、問題の特定は極めて困難だ。今後の対応としてはGPUの単体交換か、構成全体の見直しが迫られる。
純正ケーブル使用でも発生した焼損 構成と状況の詳細

今回問題が報告されたのは、MSI GAMING TRIO RTX 5090とCorsair製SF1000Lの組み合わせである。注目すべきは、12V-2×6コネクタに対しカスタムケーブルや延長パーツが一切使われていなかった点だ。SF1000LはATX 3.1に準拠した電源ユニットであり、ネイティブで12V-2×6ケーブルを備えており、最新規格に基づいた安全設計がなされているとされていた。しかしそれでも、GPU側コネクタに溶解が見られ、ケーブル自体が発火した可能性もあるという。投稿したRedditユーザー「Roachart」は、約1か月前にBest Buyから新品で購入した構成を出荷状態のまま使用しており、オーバークロックなどの負荷増加要因は存在しなかった。
さらに、システムを分解した結果、GPU側だけでなく電源ユニット側の接続部にも焦げ跡が発見された。プラスチックの膨張や白く焼けたケーブルが確認され、電源供給ライン全体にわたりダメージが及んでいた可能性がある。PCケースの大きさについても触れられているが、今回のケースでは小型ながらもエアフローに致命的な問題はなかったとされる。高価なハイエンドGPUと最新電源ユニットを正しく組み合わせたにもかかわらず発生したこの不具合は、想定外の発熱や設計上の相性問題を再び問い直す材料となっている。
焼損報告は5件のみ 少数事例に潜む不確定要因
RTX 50シリーズの電源コネクタに関する焼損トラブルは、公式Redditのメガスレッドに集約された情報によれば、発売以降確認されている件数はわずか5件にとどまっている。件数としては極めて限定的であり、明確な共通点も見出されていない。これは大多数のユーザー環境では問題が発生していないことを示しており、12V-2×6ケーブル自体の致命的な欠陥を裏付けるものではない。ただし、少数とはいえ再現性のない不具合がハードウェア全体の信頼性に疑問を投げかけるのも事実である。
特に今回のように、純正構成で発生した事例が記録されたことで、「非純正ケーブルの使用が原因」といった従来の前提が揺らいでいる。熱や電流の集中による局所的な不具合か、製造バラつきによる品質の偏りか、それともコネクタとソケット間の接触設計の問題なのか、要因の特定は極めて困難である。一般的な使用条件下でも、組み立て時のケーブルの曲げ方や挿し込みの深さといった細かな要素が影響する可能性は否定できず、ユーザーにとっては設計を信用するしかないという構図になっている。リスクの兆候を検知する手段がない以上、こうしたトラブルの発生は「予測不可能な例外」として扱わざるを得ない状況である。
Source:VideoCardz