米国テクノロジー株に対する関税リスクと連邦政府の支出縮小懸念が重なり、Palantir Technologies(PLTR)の株価は2月中旬の高値から35%以上下落している。だが、William BlairのアナリストLouie DiPalma氏は、国防総省による次世代軍事技術への資金再配分や、米陸軍の指揮統制プログラム「NGC2」新契約の可能性を背景に、同社のソフトウェア需要が拡大すると見ており、短期的な株価上昇の可能性を指摘している。
さらに、中国市場からの独立性と米国内収益の強さが、報復関税の影響を回避する要因とされる。2024年通期の売上高は37.5億ドルと予測され、これは市場予想を上回る水準である。市場全体に不安が広がる中、他のアナリストも慎重ながら同様の強気姿勢を示しており、株価には依然として10%の上昇余地があるとの見方が広がっている。
軍事需要の再拡大がPalantirに追い風 米陸軍の次世代プログラムも鍵握る
米国防総省が先端軍事技術への資金配分を再強化する中、Palantirはその中心に位置づけられている。トランプ政権時代に約500億ドルの再配分が示された軍事技術予算の流れは、現在もなお継続されており、特にドローン運用や戦術情報のリアルタイム統合といった分野において、同社のソフトウェアが重要な役割を果たしている。William Blair社のアナリストであるLouie DiPalma氏は、米陸軍がまもなく発表する可能性のある次世代指揮統制プログラム「NGC2」の新契約が、Palantirにとって重大な転機になると述べている。
加えて、既存の「Army Vantage」プラットフォームに対しても、継続利用の意向が軍内部で示されており、同社の契約更新の蓋然性が高まっている。これらの動きは、公共セクター依存度の高いPalantirにとって、収益基盤の維持と拡大を同時に叶える好材料といえる。だが、契約発表時期や規模の不透明さを踏まえると、期待が現実化するまでには慎重な見極めが必要とされる局面でもある。
対中依存ゼロがもたらす株価防衛線 地政学リスクへの構造的耐性

中国政府による米国製品への34%の報復関税は多くの企業に痛手となったが、Palantirは歴史的に中国市場に依存してこなかった。その背景には、データプライバシーと安全保障に関する米中間の緊張関係があり、同社は早期から中国進出を避けてきた。この結果、同社の収益の半分以上が米国内に集中し、アジア市場の影響を限定的に抑えている点が、今回の地政学的リスクの中での耐性を証明している。
2024年通期の収益見通しが37.5億ドルに達するとの強気な業績ガイダンスも、この構造的独立性を背景に成立していると考えられる。市場予測であった35.2億ドルを大きく上回るこの数値は、外部環境の不確実性を跳ね除ける企業体力を裏付けている。とはいえ、内需一本足打法の脆弱性も否定はできず、多様な市場への段階的拡張が次の成長戦略として問われる局面となる可能性がある。
アナリストの強気姿勢が浮き彫りにする評価ギャップ 短期上昇への見通しと慎重論
PLTR株は年初来高値から35%以上下落しているが、現在のアナリスト平均目標株価は約84ドルと、依然として10%前後の上昇余地を示している。Louie DiPalma氏をはじめとした一部の市場参加者は、短期的な市場の過剰反応に過ぎないと分析しており、防衛関連需要や収益基盤の安定性を背景に買い時と位置づけている。DiPalma氏は、軍事契約動向と米国政府の支出傾向が好転すれば、反発のタイミングは近いと見ている。
一方で、他のアナリストらは慎重な姿勢を崩していない。マクロ経済の不確実性や政権交代による政策の急変リスクが依然として存在し、短期的には株価の変動幅が大きくなる可能性がある。市場平均の目標株価は上昇の余地を示しているものの、2月のピーク水準までの回復には至らない点も注視すべき材料である。高い期待感と冷静なリスク評価の間で、投資家は難しい判断を迫られている。
Source:Barchart