GoogleがNvidiaの最新Blackwellチップの活用に向け、上場直後のCoreWeaveからのレンタル契約を検討していることが報じられた。激化するAI開発競争において、同社はGeminiの統合展開やGoogle Cloudの躍進を武器に地位を固めるが、司法省の審査や欧州での規制強化が重荷としてのしかかる。
2024年第4四半期には収益965億ドル、1株当たり利益2.15ドルを記録し、市場予想を超える業績を継続。一方で、株価は年初来で22%下落しており、成長性と規制リスクの狭間で投資家心理は揺れている。
53人のアナリスト中44人が「買い」以上を推奨し、平均目標株価は215.70ドル。AIインフラ強化が株価反転の起点となるかが、今後の焦点となる。
CoreWeaveとのGPUレンタル協議が示すGoogleのAI競争戦略

GoogleがNvidiaの次世代チップ「Blackwell」の供給源として、IPOを果たしたばかりのCoreWeaveとの契約を模索しているとの報道が注目を集めている。クラウドGPUの専業プロバイダーであるCoreWeaveは、ハイパースケーラーにとって柔軟かつスケーラブルな演算リソースを提供する存在として台頭しており、Googleがこのパートナーを選ぶことは、クラウド依存を脱却しつつ自社のAI能力を高める試みと見ることができる。
生成AIを含むAI技術の精度とスピードが競争の決定打となる中、他社に先んじたGPU調達は、製品開発の短縮やクラウド収益の拡大を後押ししうる。しかし、CoreWeaveはインフラの整備や長期的な供給能力において、AmazonやMicrosoftのような競合の水準には至っておらず、その安定性には不透明な要素も含まれる。また、Blackwellチップの採用は、GoogleのGeminiプラットフォームの性能強化と開発スピードの維持に資するが、それだけでAI主導の覇権を保証するものではない。
株価下落が続く今、こうしたGPU戦略の発表が短期的な市場の反応を引き出す可能性はあるが、Googleの成長性が持続的かつ構造的なものであるかは、中長期の実行力と競争環境の変化に左右される。
業績好調でも消えない規制リスクと競争圧力
Alphabetは2024年第4四半期に965億ドルの売上を記録し、前年比11.8%の成長を示した。1株当たり利益は市場予想の2.12ドルを上回る2.15ドルに達し、8四半期連続で予想を超える結果となった。検索広告収益が540億ドル、Google Cloudが120億ドルと、いずれも前年同期比で二桁成長を果たしている。
一方で、米司法省が2024年後半に検索広告の枠組みに対する判断を下す見通しであり、その影響は2025年に本格化する可能性がある。広告表示の手法が変われば、検索プラットフォームのマネタイズ効率に大きな影響を及ぼす。さらに欧州ではデジタル市場法(DMA)に基づく規制が続き、罰金やサービスの分離義務など、過去に例を見ない制度的圧力が加わっている。
こうした法的逆風は、収益の柱である検索とYouTubeに直撃しうる構造的リスクであり、生成AIによる業務革新だけでは相殺しきれない要素である。業績好調という数字の裏側には、急速に変わるルールの網の目をどう潜り抜けるかという、経営判断の重みがある。短期の成長を維持しながら、長期の安定性をどう確保するかが、今後の評価軸となるだろう。
Source:Barchart