ビットコイン価格が2025年に大幅に下落した影響を受け、最大の企業保有者であるMicroStrategy(現Strategy)の株価も急落し、過去最高値から50%超の下落を記録している。Monness Crespi Hardtのアナリスト、ガス・ガラ氏は同社株を初めて「売り」に格下げし、目標株価を220ドルと提示。これは現在の水準から約20%の下落を示唆する水準であり、資金調達手法や市場の反応の鈍さを懸念材料として挙げている。
一方で同社は引き続き大量のビットコインを取得しており、525,185BTCを保有。新設の永久優先株「Strike」などを通じた積極的な資金調達を展開しているが、競合企業の台頭と市場の飽和感が今後のリスクとして指摘される。
アナリスト評価は依然として買いが多数派であるが、ビットコイン相場の不安定さが同社株の先行きに影を落としている状況だ。
初の「売り」格下げで浮上する資金調達の限界と競争の激化

MicroStrategyは2025年3月末、22,048BTCを新たに購入し、保有総量を52万5185BTC、評価額約400億ドルにまで積み増した。これに伴い、同社は「21/21計画」のもとで株式と債券を活用した巨額調達を進め、株式での目標達成率は80%、債券では17%に到達している。さらに、固定8%配当を提供する永久優先株「Strike」を導入し、5億8400万ドルを調達するなど、多様なスキームで資金繰りの強化を図っている。
しかしながら、Monness Crespi Hardtのアナリスト、ガス・ガラ氏は、こうした資金調達の持続可能性に警鐘を鳴らした。市場が同社の継続的な株式発行に対し飽和状態にあるとの見解を示し、株価に対する希薄化懸念が高まりつつあると指摘する。加えて、Mara HoldingsやGameStopといった競合も暗号資産関連事業に資金を投じ始めており、MicroStrategyの独自性や市場優位性が薄れつつある状況も無視できない。
資金調達力が企業戦略の中核をなす中で、その負荷とリスクは着実に増している。急拡大する暗号資産エコシステムにおいて、資金流入の確保と市場の信認維持は今後の最大の課題となる可能性がある。
暗号資産と連動する株価構造が招く不確実性の本質
Strategy(旧MicroStrategy)の株価は、事業収益よりも保有するビットコイン価格の変動に強く影響を受けている。実際に、ビットコインの急落によりMSTR株は過去最高値から50%以上の下落を記録し、そのボラティリティの高さが企業評価に直結するリスクを浮き彫りにしている。同社の第4四半期売上は約1億2100万ドルで前年比3%減少したが、ビットコイン保有資産の変動がそれ以上に株価に与える影響が大きい。
この構造は、伝統的な企業価値評価モデルとは異なる性質を持つ。同社はビットコインを「戦略的準備資産」として長期保有する方針を貫くが、それは同時に、株式が暗号資産の価格波に乗ることを意味する。仮にビットコインが安定的に推移したとしても、他の要因による急落時には企業の信用や調達能力までもが揺らぎかねない。
市場の多数派であるアナリストの評価は依然として強気で、平均目標株価は現在水準から90%超の上昇余地を見込んでいるが、根拠が暗号資産価格に依存する限り、投資判断におけるリスク許容度の見極めが極めて重要となる。暗号資産に対する強気な見通しが企業価値を支える構図において、収益構造の多角化が急務であることは疑いない。
Source:Barchart.com