Teslaの株価が2025年4月7日時点で年初来43%超の下落を記録し、52週高値からは半値以下に沈んだ。中国BYDとの競争激化や平均販売価格の低下、さらにはCEOイーロン・マスクの政治的関与がブランド評価に打撃を与えたことが要因とされる。

Lucidなど新興EV企業による市場侵食に加え、欧米市場での販売不振や抗議活動の拡大も株価の重石となっている。WedbushのDan Ives氏は目標株価を315ドルに引き下げ、ブランド信頼の毀損が最大10%の顧客離れにつながる可能性を指摘した。

一方、Cathie Wood氏はAIとロボティクスによる飛躍的成長に期待し、2600ドルという強気な目標株価を維持。Barchartによると、41人のアナリストのコンセンサスは「ホールド」で、平均目標株価は320.56ドルに設定されている。

競争激化と政治的影響がTesla株を直撃した背景

Teslaの株価が2025年に入り急落している主因は、複合的かつ構造的な市場圧力にある。中国BYDとの価格競争が激化するなか、平均販売価格が下がり、自動車部門の収益性が揺らいでいる。さらに米国および欧州における販売不振は、EV市場の成熟と競合の台頭を象徴するものといえる。Lucidをはじめとした競合がTeslaの市場シェアを奪い取りつつあり、従来の「テスラ神話」が通用しない局面に入っている。

加えて、CEOイーロン・マスクによる「政府効率省(DOGE)」への関与がブランド評価に悪影響を与えた。政治的な立ち位置が明確化されることで消費者の離反を招き、購買意欲を鈍らせた可能性が高い。Tesla車両や販売拠点に対する抗議行動の発生は、その象徴的な事例といえる。

WedbushのDan Ives氏はこの状況を「自ら招いたブランド問題」とし、目標株価を315ドルへと大幅に引き下げた。顧客基盤の最大10%が失われた可能性を指摘しており、これは単なる短期的な株価変動ではなく、構造的なブランド毀損の兆候と捉えるべき局面である。

株価下落のなかで注目される未来技術とその評価の隔たり

Teslaの成長物語は終わったとする悲観論の一方で、ロボタクシーやロボティクス、AI主導の工場運営といった未来技術への期待も根強い。特にARK InvestのCathie Wood氏は、ヒューマノイドロボットや自動運転車のスケール展開を通じて、Teslaの企業価値が「数兆ドル規模」へと膨張する可能性を提示し、目標株価を2600ドルに据え置いている。このような強気な評価は、短期的な株価変動に影響されない中長期の視点からのものである。

一方、JPMorganは納車台数の減少が一時的でないと判断し、目標株価を120ドルとする厳しい見方を示した。2025年第1四半期における納車台数の前年比13%減少は、単なる需要減退ではなく、製品やブランドの吸引力そのものが低下している兆候とも受け取れる。

Barchartによると、41人のアナリストのうち12人が「ホールド」、10人が「ストロング・セル」を示しており、評価は割れている。未来志向の技術開発が株価を牽引する可能性は否定できないが、それがいつ市場に織り込まれるかは依然として不透明なままである。

Source:Barchart