2025年4月4日、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのクラスA株は6.91%急落し、742,540ドルで取引を終えた。週明けのプレマーケットではさらに4.38%下落し、710,000ドルに到達。背景には、ドナルド・トランプ前大統領の発言を契機とした関税への懸念拡大と、それに伴う市場全体のリスク回避姿勢がある。
S&P500は同日6%の下落、ナスダックやラッセル2000は20%超の調整局面入りとなり、COVID-19初期以来の規模となる6兆ドル超の時価総額が失われた。バークシャーも主力株であるAppleやAmerican Expressなどが第1四半期に二桁の下落を記録したものの、飲料やインフラ関連銘柄が損失を一部緩和した。
依然としてバークシャーは年初来9%の上昇を維持し、3,342億ドルの現金保有に裏打ちされた堅固な財務基盤と守備的なポートフォリオ構成により、市場平均を上回るパフォーマンスを見せている。
バフェットの主力銘柄に集中するリスクが浮き彫りに

バークシャー・ハサウェイの13F報告書によれば、Apple、American Express、Bank of Americaの3銘柄でポートフォリオの過半を占める構成となっている。これらは2025年第1四半期にいずれも二桁の下落を記録し、Appleは24.77%減の188.38ドル、American Expressは21%減の233ドル、Bank of Americaも21%減の34ドルと大きく値を下げた。いずれもバークシャーのコア資産であり、構成比は合わせて56%に達する。
この集中投資戦略は、上昇局面では大きなリターンをもたらす一方、市場の逆風に際しては脆弱性を露呈する。特に2025年第1四半期はテック株と金融株への逆風が強く、金利政策や規制リスクへの懸念も重なり、こうしたセクターに偏ったポートフォリオには厳しい展開となった。市場環境がセクター横断的に悪化した場合、リスクの分散が不十分であるとの批判も避けられない構造である。
もっとも、バフェットは過去にも一貫して特定企業への信頼を持ち続けており、その姿勢は短期的な市場の動揺に左右されない。しかし今回の下落は、投資戦略の再考を促す契機となる可能性もある。集中投資がもたらすリターンとリスクの両面を、改めて市場は意識する局面にある。
飲料とインフラ関連が示す防御的資産の持続力
Appleなどの主力銘柄が軒並み下落する一方で、コカ・コーラやVeriSignといった銘柄が相対的な強さを見せた。コカ・コーラは12%上昇して69ドル、VeriSignは16%上昇して240ドルに達し、バークシャーのポートフォリオにおいて損失を一定程度相殺する役割を果たした。両銘柄に共通するのは、消費安定性や独占的市場性といったディフェンシブ特性である。
特にコカ・コーラは、景気循環に左右されにくい収益構造を持ち、インフレ環境下でも価格転嫁が可能である点が評価された。VeriSignもインターネットのインフラに不可欠なサービスを提供しており、堅調な収益性と安定したキャッシュフローを背景に買いが集まった。こうした企業は、市場全体が混乱する局面でも投資家心理の支えとなる。
バークシャーがこのような銘柄をポートフォリオに組み込んでいたことは、単なる成長株偏重ではないバフェットの選球眼を示しているとも言える。市場の急変に際し、資産全体のボラティリティを和らげる役割を果たしており、守備的資産の意義が改めて浮き彫りとなった。今後の市場変動に備える上で、こうしたディフェンシブ銘柄の存在感は一層高まると考えられる。
Source:Finbold