著名投資家キャシー・ウッド率いるアーク・インベストが、株価が直近高値から29%下落したAmazon.com株を積極的に買い増した。第1四半期の慎重な見通しが下落要因とされるが、同社は強力な第4四半期決算を発表しており、アナリストの多くは今後の売上8%増と利益成長を予測している。
67人のアナリストによる平均目標株価は264.58ドルで、現水準から約53%の上昇余地が示唆されており、証券会社73社の評価も「アウトパフォーム」が平均となっている。
GuruFocus独自の指標では、Amazonの1年後の公正価値を184.70ドルと算出しており、現状の172.95ドルからの上昇余地も指摘される中、ウッド氏の判断は強気相場再来を見据えた一手と映る。
キャシー・ウッドがAmazon株を買い増した背景と市場の反応

Amazon株は、2024年第4四半期に好調な決算を発表したにもかかわらず、第1四半期の見通しが慎重だったことから株価が急落し、直近高値から29%もの下落を記録した。この下落局面で、アーク・インベストを率いるキャシー・ウッドは同社株の保有比率を引き上げるという決断を下している。こうした逆張り的な動きは、短期的な市場の動揺よりも中長期的な成長余地に着目する姿勢を示すものである。
実際、67人のアナリストによる1年後の平均株価予測は264.58ドルであり、現在の取引価格である172.95ドルから約53%の上昇余地が見込まれている。さらに、証券会社73社による推奨平均は1.8と、投資判断「アウトパフォーム」が多数を占める状況にある。このような強気な評価は、堅調な収益基盤に加え、eコマースとクラウドサービスの成長性が引き続き意識されているためである。
市場が短期的な見通しに過剰反応する一方、ウッド氏は割安感と構造的な競争優位性に着目したとみられ、今回の買い増しはアーク・インベストの投資哲学を体現する動きといえる。
アナリスト予測とGFバリューに見るAmazonの本質的評価
GuruFocusによる独自のGFバリュー算出では、Amazonの1年後の推定公正価値は184.70ドルとされており、現在の株価から約6.79%の上昇余地が示されている。この指標は、過去の取引倍率や成長率、今後の収益性を総合的に評価したものであり、企業のファンダメンタルズに基づく中立的な価格指標として機能する。GFバリューと市場価格の乖離は、投資家にとっての判断材料として極めて重要である。
一方で、アナリストによる目標株価の平均が264.58ドルと大きく上振れていることから、市場関係者がAmazonの今後の成長性に強い期待を抱いていることが分かる。特に、売上高の前年比8%増と利益の大幅な改善が予測されており、プライム会員制度の継続的な拡大、AWS事業の堅調な推移がその裏付けとなっている。
公正価値と目標株価の差異は、Amazonが依然として成長企業として評価されている証左であり、短期的な株価調整を過度に悲観する必要は薄いと見る向きもある。こうした状況下では、企業価値の本質を見極める視座がますます重要となる。
Source:GuruFocus