Microsoftは2025年4月7日、Windows Insider向けにWindows 11ビルド22635.5170(KB5055623)をBetaチャネルで公開した。今回のアップデートでは、ファイルエクスプローラーに関して外部リンクからのフォルダー起動時に既存ウィンドウ内で新しいタブとして開く挙動が再導入されているほか、スタートメニューの表示不具合やファイル操作中のクラッシュといった複数の問題が修正された。

ファイルエクスプローラーのタブ挙動が復活 日常の作業効率に直結する仕様変更

Windows 11ビルド22635.5170では、外部アプリやデスクトップからフォルダーを開いた際、既存のファイルエクスプローラーウィンドウ内で新しいタブとして表示する仕様が再び有効化された。この動作は一度無効化されていたが、今回のアップデートで再展開されている。ただし、従来のように別ウィンドウで開きたい場合は、設定画面の「フォルダーの参照」オプションから切り替えることも可能である。

この挙動は、日常的に多数のファイルを扱う作業スタイルに対して明確な利便性をもたらす。複数ウィンドウが無秩序に開いてしまう混乱を避けつつ、タブという形で整理された表示が可能になるため、作業領域をスマートに保てる点は評価できる。ただし、タブの導入によりファイルエクスプローラーの動作が重くなるケースが過去に報告されていたこともあり、動作の軽快さとのバランスには今後も注意が必要といえる。

コンテキストメニューのラベル表示は再停止 視認性向上機能は一時見送り

以前のビルド22635.4660にて導入されていた、切り取り・コピー・貼り付け・削除などの操作に対しラベルを表示する仕様は、本ビルドでは再び無効化されている。この機能は本来、アイコンだけでは認識しにくい操作ボタンを明示することを目的としていたが、現時点ではBetaチャネルにおいてその表示は停止され、バージョン24H2以降のフライトで再度利用可能となる構成になっている。

この措置は、一部環境や表示設定との相性、あるいはUI設計全体との整合性に課題があった可能性がある。特に、操作ボタンの意味を直感的に伝えるインターフェースは、熟練者だけでなく幅広い層に対して有効であり、再度の実装には期待が集まる。ただし、表示項目が増えることによる視認負荷や、画面スペースとの兼ね合いにも配慮が必要であり、単なる機能の復活ではなく、洗練された実装が求められる局面である。

細かな不具合修正が操作環境の安定性を支える

今回のビルド22635.5170では、スタートメニューやファイルエクスプローラーにおける複数の不具合が修正されている。特に、テキストサイズを拡大設定していた際にスタートメニュー内の「サインアウト」や「その他のオプション」が表示されない現象や、ファイルのコピーや名前変更中にクラッシュする問題など、日常的な使用に支障をきたす不安定さに対して対応が行われた。また、リモートデスクトップ切断後に一部アプリが正常に動作しないケースについても改善が加えられている。

こうした修正は、見た目の派手さこそないが、システム全体の信頼性を支える基盤として重要である。操作中の不意のクラッシュは作業効率を著しく低下させる要因となるため、安定動作を重視する層にとっては着実な改善と言える。一方で、スタートメニューの新グリッドビュー機能には依然として既知の問題が残っており、完全な完成度に至るにはさらなる調整が必要と考えられる。

Source:Neowin