韓国サムスン電子が発表予定の2025年第1四半期決算において、営業利益が前年同期比で21%減の5.2兆ウォンに落ち込む見通しとなった。主因は、AIチップ販売の不振や半導体製造受託事業(ファウンドリー)での契約停滞にある。
SKハイニックスとの競争で劣勢に立たされ、高性能メモリチップ市場でのシェア後退が鮮明になっている。さらに、DRAMとNANDの価格がそれぞれ25%、50%と大幅に下落し、収益基盤が大きく揺らいだ。加えて、米国での新工場の稼働時期が2027年にずれ込む可能性が浮上し、戦略的布石にも不確実性が生じている。サムスンの半導体依存体質は一段と深刻な局面を迎えた。
半導体事業の構造的な失速と価格下落の連鎖

サムスンが2025年第1四半期に21%の営業利益減を見込む背景には、単発的な販売不振ではなく、構造的な問題が横たわっている。特にDRAMとNANDフラッシュといった中核製品の価格が、それぞれ25%、50%も下落した事実は、供給過多と需要停滞の二重の圧力を物語る。
AI用途に特化した高性能メモリの需要が伸び悩む一方で、中国市場におけるローエンド需要への依存が強まっており、収益性のバランスを欠いた状況となっている。SKハイニックスがNVIDIA向けに次世代HBMメモリを供給する中、サムスンはハイエンド市場で競争力を発揮できていない。
結果として価格競争に巻き込まれ、低価格帯のメモリで数量を稼がざるを得ない展開に追い込まれている。これは利益率の大幅低下を招くだけでなく、サムスンのブランド価値にも影を落とす可能性がある。供給戦略の再考なくして、半導体事業の立て直しは見通せない局面に差しかかっている。
ファウンドリー戦略の遅延と米国工場の不確実性
受託製造事業を担うファウンドリー部門においても、サムスンは大きな課題を抱えている。先端プロセス技術を要する大口案件を獲得できておらず、競合であるTSMCとの差は埋まらないまま拡大しつつある。
米国に建設中の半導体工場に関しても、当初予定されていた来年の生産開始が2027年まで後ろ倒しされる可能性が報じられ、地政学的リスク回避と供給網強化を目的とした北米戦略に暗雲が立ち込めている。この遅延は、インフラ整備・人材確保・技術移転のいずれか、あるいはすべてに課題があることを示唆している。
米国政府からの支援を受けている一方で、期待されたスピード感が伴っていない現状は、投資家や取引先企業の信頼にも影響を及ぼしかねない。特にAI・自動運転・IoTといった成長分野における半導体供給の遅延は、事業機会の逸失を招くため、今後の影響は短期的な減益にとどまらない可能性もある。
Source:Android Headline