Microsoftは、2025年4月18日に予定していたWSUS(Windows Server Update Services)によるドライバー更新の同期サポート終了を延期すると発表した。今回の決定は、オフライン環境での利用継続を求める声など、ユーザーからの強いフィードバックを受けた結果である。

同社は2024年6月に廃止方針を打ち出していたが、実際の利用実態とのギャップが浮き彫りになった格好だ。今後の具体的な廃止時期は未定で、Microsoftは新たなタイムラインを後日公表するとしている。

ドライバー同期廃止の予定は見直しに 背景にあるユーザーの現実的なニーズ

Microsoftは2024年6月、WSUSを通じたドライバー同期機能の廃止を告知していた。2025年4月18日がその終了予定日として示され、90日前の2025年1月にはリマインダーも出されていた。しかし今回、同社はこのスケジュールの撤回を公式に表明した。背景には、多数の利用者から寄せられた運用上の懸念や、既存の環境での依存度の高さがある。

特にオフライン環境やインターネット接続に制限がある構成で運用されているシステムにおいて、WSUSの存在は依然として不可欠である。Microsoftは、ユーザーの声に耳を傾けた結果として、当初の見積もりよりも現場での実情が複雑であることを認めた。公式ブログでは、「多くの方がクラウドへ移行している」とした一方で、十分な移行が困難な状況も存在すると述べている。

本件は単なるスケジュール変更にとどまらず、OS更新やドライバー管理の最適解が一様でないことを物語っている。クラウドへの一本化が進む中で、ローカルの選択肢も維持すべきだという判断が下された形だ。

Microsoftの見誤りと現場の温度差 わずか8%の懸念から見落とされた課題

Microsoftが2024年に実施した影響調査では、WSUSによるドライバー同期機能の廃止に懸念を示した回答者はわずか8%にとどまったとされる。これは一見すると「大勢に影響はない」との判断材料になるかもしれないが、実際の声との乖離があったことが今回の方針撤回からも見て取れる。

こうした統計結果がどのような層を対象に、どの規模で行われたかは不明だが、少数の声が無視できない現実を内包していたといえる。特に、自動車業界や製造現場など、オフラインでの安定運用が最優先となる現場では、ドライバー更新の自動化やクラウド依存は容易ではない。こうした運用環境は調査の数値に反映されにくく、Microsoftの決定にも十分な影響を与えられなかった可能性がある。

企業の方針が実態にそぐわなければ、こうした修正が生じるのは必然である。8%という数字の裏側には、無視できない「深さ」が潜んでいたことを示している。

今後求められるのは柔軟な移行設計 Intuneなど新サービスの活用もカギ

MicrosoftはWSUSのドライバー同期を将来的に廃止する方針そのものを撤回したわけではなく、「延期」にとどめている。今回の判断は、ユーザーの準備不足や移行困難な事情を考慮した猶予措置であり、今後改めて終了時期が設定される可能性が高い。その際、鍵を握るのがIntuneなどを活用したモダンなドライバー管理手法の理解と導入である。

Intuneはクラウドベースの管理サービスで、企業がデバイスを効率的に一括制御できる環境を整えるが、導入にはネットワーク構成やポリシー整備、リソースの見直しが必要となる。特にWSUSに慣れた環境では、運用ポリシーやセキュリティ要件とのすり合わせが大きな負担となる場合がある。こうしたハードルを越えるには、両者の併用期間や段階的な移行設計が求められる。

移行を単なる置き換えではなく、運用全体の再構築と捉えることが、将来のトラブルを回避する鍵になる。今後の新しいタイムラインが発表される前に、十分な準備と検証が不可欠である。

Source:Neowin