NVIDIAのGame Readyドライバー「572.16」以降でGPUの不具合が相次いでいる。RTX 5090を皮切りに、RTX 4080や3070といった他世代のユーザーからもブラックスクリーンやクラッシュといった深刻な問題が報告されている。YouTubeチャンネル「Gamers Nexus」は、RTX 4070 Superと最新ドライバーによるクラッシュを複数ゲームで再現し、バグの実在性を証明。複数のゲーム開発者も最新ドライバーの使用を控えるよう注意喚起を行っている。
一部ユーザーは安定動作を求めて旧バージョン「566.36」へのロールバックを推奨するが、DLSS 4など最新機能を失うリスクも伴う。根本的な修正が行われない限り、快適なプレイ環境の確保は困難と言える。
問題の発端はRTX 5090とGame Ready 572.16の組み合わせから

2025年1月30日に登場したRTX 5090と、それに合わせて配信されたGame Readyドライバー「572.16」。この組み合わせから、不具合の報告が噴出し始めた。最初に声を上げたのはRTX 5090の初期購入者たちであり、続いてRTX 4080やRTX 3070など旧世代のユーザーからも、ブラックスクリーンやGPUの未認識、ゲームのクラッシュといったトラブルが相次いで報告された。
問題はドライバーの更新によって解消されるどころか、572.83に至るまで5つのバージョンを経ても根本的な修正は見られていない。Tom’s Hardwareの調査やr/Hardwareでのユーザー投稿もその深刻さを裏付けており、DLSSやNVIDIA Reflexとの干渉の可能性も指摘されている。Gamers Nexusは、RTX 4070 Superと該当ドライバーを使用した検証動画を公開。『Cyberpunk 2077』『Marvel Rivals』などのゲームにおいてバグを再現し、G-SyncやFrame Generationといった機能の組み合わせが不安定さを招いていることを示した。
こうした流れを見る限り、問題は特定のGPUや設定に限らず、広範な環境で再現性を持って現れていると考えられる。ただし、全ユーザーに共通する現象ではなく、使用構成やゲームタイトルによって症状が変動する点には注意が必要である。
安定性を求めてロールバック推奨も、DLSS4とのトレードオフが浮上
不具合に直面した多くのユーザーが頼る対策が、ドライバーのバージョンを「566.36」へ戻すことだ。これは2024年12月5日に配信された安定版であり、クラッシュを避けるには最も手堅い手段とされている。しかしながら、この回避策には一つ大きな問題がある。最新ドライバーで追加されたDLSS 4のマルチフレーム生成(MFG)や、Frame Generationの柔軟な管理機能といった革新的な要素を利用できなくなるのだ。
特にMFGは、CES 2025でNVIDIAが「RTX 5070はRTX 4090に匹敵する性能を持つ」と強調する際の根拠ともなっていた重要技術であり、それが無効化されることで本来享受できるはずの性能を引き出せないケースもある。開発中の新作ゲーム『inZOI』や『The First Berserker: Khazan』の開発元も、安定性の観点から旧ドライバーの使用を推奨しており、この姿勢は一定の説得力を持つ。
ただし、快適なゲーミング体験を重視する一方で、最新機能を手放すことに抵抗を感じるユーザーも少なくない。性能と安定性、その両立を目指すのであれば、ドライバー側の抜本的な修正を待つしかない状況にあるといえる。現段階では、最適解が環境ごとに異なる点を踏まえ、柔軟な対応が求められる。
Source:Windows Central