2025年3月の時点で、Windows 11の導入率が42.7%に達し、Windows 10の54.2%に急速に迫っている。背景には、2024年10月に予定されるWindows 10のサポート終了があり、業務への影響を避けるべく企業が一斉にアップグレードを進めたことが大きい。

AI機能を搭載した「Copilot PC」などの新カテゴリPCが市場に投入されたことで、Microsoftはアップグレードの後押しを図っており、2024年末にはAI対応PCが出荷台数の約23%を占める結果となった。2025年にはこの割合が35%に達するとの予測もある。

Windows 10のサポート終了が企業の判断を後押し

2024年10月に迫るWindows 10のサポート終了を前に、多くの企業がようやくWindows 11への移行を本格化させた。2025年3月時点で導入率は42.7%にまで拡大し、ついにWindows 10の54.2%を射程圏内に捉えている。Statcounterの統計によると、この数ヶ月で導入が急伸しており、企業がシステムの刷新に向けて動き出した実態が浮かび上がっている。

企業にとって、業務端末のOSアップグレードは慎重を要する決断であるが、サポート終了という明確なタイムリミットがその判断を強く後押しした。業務アプリケーションの互換性やセキュリティ対策の観点から、Windows 10のままでは不安が残るため、計画的な切り替えが進められている。Canalysのアナリストも、こうした法人需要こそがPC市場の回復を支えていると指摘している。

ただし、今回の流れはあくまで企業の事情に起因しており、一般ユーザーの反応とは乖離がある。必須機能が乏しいとされるWindows 11に対して、積極的な導入理由が見つからないと感じる人が多い状況も見逃せない。

AI搭載「Copilot PC」の登場が新たな選択肢に

MicrosoftはWindows 11の魅力を高める一手として、AI機能を統合した「Copilot PC」という新カテゴリを投入している。2024年末の出荷実績では、AI対応PCが全体の23%を占めており、この割合は2025年には35%まで拡大すると見られている。AIがデバイス側で動作する利便性や高速性は、従来のクラウド依存型とは一線を画す。

音声認識や自動要約、リアルタイム翻訳などが端末単体で完結するようになれば、PCの使い勝手そのものが一段階進化する可能性がある。加えて、電力効率やプライバシーの観点でもローカルAIの活用は有利に働く。Windows 11はこうした機能との連携を前提に設計されており、今後のアップデート次第で体験が大きく変わる余地を残している。

とはいえ、AI搭載と聞いても具体的な活用イメージが持ちづらいという声もある。現時点では一部のユーザー層にとどまっており、大多数が恩恵を実感できるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

一般ユーザーに響かないWindows 11の決定打の欠如

Windows 11の導入が進む中で、一般ユーザーの反応は比較的冷静である。企業にとっては必然性があるアップグレードも、個人にとっては切迫感が薄く、Windows 10のままで不便を感じていない層も多い。Windows 11には視覚的な刷新やレイアウトの改善があるものの、決定的な差別化要素が見当たらないという意見が根強い。

特に、主要アプリの操作性や機能が従来と大きく変わらないことが、移行のモチベーションを下げている要因といえる。ゲームやクリエイティブ用途でも、パフォーマンス差が明確でなければ、リスクを冒してまでアップグレードする理由が乏しい。セキュリティ強化や将来のサポート対応といったメリットも、日常的な使用感に直接結びつきにくい。

結果として、Windows 11は企業主導で導入率を伸ばしてはいるが、一般ユーザー層を巻き込むには今後の機能拡充が鍵となる。AI連携の深化や新しい標準機能の登場が、個人ユーザーの心を動かせるかどうかが注目される。

Source:TechRadar