AMDが開発中とされる「Ryzen AI Z2 Extreme」の存在が、著名リーカーによる投稿で明らかになった。これは8基のZen 5 CPUコアと16基のRDNA 3.5 GPUユニットを備えたRyzen Z2 ExtremeのAI対応版で、無効化されていないNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を特徴とする可能性がある。

この新型チップは、すでに確認されているZ2シリーズ3種と未発表の1種に続き、ラインアップを5製品とする構成で登場すると見られる。CES 2025では、Lenovo Legion Go 2やZotac Zone 2がZ2 Extreme搭載端末として紹介されており、AI搭載モデルもその後継にあたると推測される。

AIによる動的パフォーマンス管理はすでにMSI Claw 8 AI+で採用されているが、AMDが自社設計でこの領域に踏み込むことで、携帯型ゲーミングPCの体験はさらなる進化を遂げる可能性がある。

Ryzen Z2シリーズに新展開 未発表のAI搭載モデルがラインアップに加わる可能性

リーカーAnhPhuHによって明かされたリストにより、Ryzen Z2ファミリーは5製品構成であることが示唆された。既存の「Ryzen Z2」「Z2 Go」「Z2 Extreme」に加え、未発表の「Z2 A」、そして新たに「Ryzen AI Z2 Extreme」の存在が指摘されている。

現時点では仕様の大半が不明とされるが、Z2 Extremeと同様に8基のZen 5 CPUコアおよび16基のRDNA 3.5 GPUユニットを備え、NPUが有効化されている構成である可能性が語られている。

既存モデルとの差別化は、まさにこのNPUの有無に集約されると見られる。AI処理に最適化されたNPUが組み込まれることで、携帯型端末における電力制御や負荷分散のアルゴリズムが刷新される余地がある。

Ryzen Z2シリーズ全体の設計思想がAI活用を前提とする方向に進化しつつあることは、このラインアップ構成からも読み取れる。製品名に「AI」を冠する点も、これまでのRyzenチップには見られなかった動きである。

現時点でAMDはこのチップの詳細を公表していないが、CES 2025で紹介されたZ2 Extreme搭載のLenovo Legion Go 2やZotac Zone 2といった端末が今後の主戦場となる中、AIモデルの市場投入時期と搭載機の動向が注目される。

携帯型ゲーミングPCにおけるAI搭載SoCの意義と課題

AIを活用したSoCの設計は、携帯型ゲーミングPCにとってパフォーマンスと電力効率を同時に追求する手段のひとつと位置付けられる。MSI Claw 8 AI+に搭載されたIntel製NPUの例では、動作中にリアルタイムで負荷調整を行い、システム全体の応答性を高めることが狙いとされている。しかし現実には、AIエンジンの制御が不安定になる場面もあり、完全な信頼性には至っていない。

この点で、AMDが自社設計によるAI搭載SoCをRyzen Z2シリーズで導入することには戦略的意義がある。AIを用いた熱制御やTDP管理は、ユーザーの手動調整を排除し、端末ごとの最適化を自律的に行う可能性を示している。ただし、それには高精度なデータ解析と制御アルゴリズムの成熟が不可欠であり、AIを搭載すれば即座に全体最適化が実現されるわけではない。

さらに、ゲーミングという高負荷用途において、AI処理のための追加ハードウェアが電力・発熱のボトルネックとならないよう設計バランスを保つ必要がある。NPUの性能だけでなく、SoC全体との調和こそが、次世代機の価値を左右する鍵となるだろう。

Source: PCGamesN