米Gamers Nexusは、NVIDIAの最新GeForce RTXドライバに深刻な不具合が多数確認されたと報告した。RTX 30/40/50世代の各GPUで、複数のゲームがクラッシュする問題が再現され、DLSSやG-Syncといった独自機能が関与している可能性が指摘されている。
とくに「Cyberpunk 2077」や「Star Wars Outlaws」などでのクラッシュ頻度が高く、開発者自身が旧バージョンへのダウングレードを推奨する異常事態となっている。Gamers Nexusは「これはNVIDIA史上最悪のドライバローンチ」と断じ、信頼性の失墜を強く批判した。
多くのユーザーは古いドライバで安定動作を確認しており、最新機能とのトレードオフを強いられる現状に対し、NVIDIAの対応が問われている。
RTX 50世代を含む広範な不具合 クラッシュと表示異常が多数報告

Gamers Nexusの検証によれば、NVIDIA製GPUにおける最新のGeForce RTXドライバは、旧世代のRTX 30および40シリーズだけでなく、最新のRTX 50シリーズにも不具合をもたらしている。具体的には、「Star Wars Outlaws」でのクラッシュ、「Marvel Rivals」におけるフレーム生成時の不安定、「Cyberpunk 2077」起動時の強制終了など、多数の人気タイトルで深刻な動作障害が確認された。
さらに、「Shadow of the Tomb Raider」ではDirectXベースのベンチマーク中にDXGIエラーを伴うクラッシュが発生し、特にG-Syncや高リフレッシュレート対応モニターを組み合わせた環境で顕著な問題が起きているという。これにより、マルチモニター環境やスリープ復帰時のブラックスクリーンも含め、広範な条件下でドライバ由来のトラブルが発生している構図が浮かび上がる。
Gamers Nexusは、問題の再現性を確認したうえで、旧ドライババージョン(例:バージョン566)へのダウングレードによって多くの不具合が回避できると報告している。これは、原因がシステム構成や外部要因ではなく、ドライバのソフトウェア設計に内在している可能性を示唆しているといえるだろう。
ドライバ品質への信頼低下とNVIDIAへの構造的な疑義
Gamers Nexusのスティーブ・バーク氏は、「これはNVIDIAにとって最悪のローンチ」と断じたうえで、2008年から業界に携わる自身の経験からしても、今回の混乱は極めて異例であると位置づけている。RTX 50シリーズは同社が注力する最新プラットフォームであり、本来であれば最も安定した環境が保証されるべきであるが、その前提が覆されている。
特筆すべきは、NVIDIAが大規模にプロモーションを展開しているゲーム「Inzoi」の開発チームまでもが、正式に旧ドライバへのロールバックを推奨している点である。これは、販売促進とドライバの完成度の間に明確な乖離があることを象徴する事例であり、開発と品質保証の連携が機能していない状況を浮き彫りにする。
NVIDIAはこれまでもドライバの安定性と機能追加で業界をリードしてきたが、今回のようにDLSSやフレーム生成といった新機能がむしろシステム全体の信頼性を損ねる結果となった点は、先端技術を拙速に統合したリスクと見るべきである。市場が新技術に熱狂する裏で、基本動作の安定性が軽視されているのではないかという懸念が強まっている。
Source:VideoCardz.com