Nvidiaの次世代GPU「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」の仕様が、貨物リストに記載されたPG152ボード情報から明らかとなった。両モデルはBlackwellアーキテクチャを採用し、128ビットのメモリバスに加え、GDDR7メモリを搭載する。特にGDDR7(28Gbps)への移行は、前世代に比べ最大55%のメモリ帯域幅向上を可能とし、従来のボトルネック解消に寄与すると見られている。

また、RTX 5060は8GB仕様、5060 Tiは8GBと16GBの2構成で展開予定である一方、12GBモデルの計画は現時点で確認されていない。CUDAコア数はそれぞれ3,840と4,608に増加し、消費電力(TDP)は最大180Wに達するなど、性能強化と効率性の両立が図られている。

GDDR7と128ビットバスの採用がもたらす帯域幅の革新

RTX 5060および5060 Tiは、GDDR6からGDDR7への移行と128ビットのメモリバスを組み合わせることで、前世代モデルに比して最大55%の帯域幅向上が可能とされている。

これは28GbpsのGDDR7モジュールが提供する転送速度に由来するもので、帯域幅の不足がボトルネックとなりやすい近年のゲーム環境において、性能向上への貢献が見込まれる。メモリ帯域が描画負荷に対して十分であることは、特に高解像度での安定したフレームレート維持に直結しうる。

ただし、同時に採用される128ビットのバス幅には上限も存在し、GDDR7の性能を完全に引き出すには一定の制約があることも否定できない。従来から続くNvidiaのこの帯域構成は、電力効率とコストのバランスを意識した選択と捉えられるが、メモリ周りの拡張性に関する議論が今後の製品展開に影響を及ぼす可能性は高い。製造コストと性能の両立をどう設計に落とし込むかが問われる。

CUDAコア数の増強とBlackwellアーキテクチャの意義

RTX 4060シリーズとの比較において、RTX 5060ではCUDAコア数が3,072から3,840へ、5060 Tiでは4,352から4,608へと拡大されている。演算処理能力の要であるCUDAコアの増加は、画像生成やAI処理といった非ゲーム分野にも恩恵をもたらす。さらに、新アーキテクチャ「Blackwell」の採用により、消費電力当たりの性能向上やパイプライン効率の改善が図られていると考えられる。

一方で、TDP(熱設計電力)はRTX 5060が150W、5060 Tiが180Wと、前世代よりも上昇している。このことは、電力効率の面での進化と引き換えに、より高性能な冷却ソリューションの必要性を示唆している。家庭用PC市場においては、これが電源ユニットや筐体設計に波及する可能性もあり、特に小型フォームファクターへの対応が課題となる局面も想定される。設計思想の転換が求められる時期に差し掛かっている。

Source:OC3D