Nvidiaの最新フラッグシップGPU「GeForce RTX 5090」で、新たな電源コネクターの焼損報告がRedditに投稿された。報告者は米国在住のユーザーで、オーバークロックなし、純正ケーブル使用という通常運用にもかかわらず、コネクターとグラフィックカード側双方に溶解・損傷が確認されたと説明している。

使用されていた電源ユニットはCorsair SF1000L(1000W)、カードはMSIのGaming Trio OC。いずれも信頼性の高い製品で構成されたシステムであったことから、問題はケーブル仕様や設計側にある可能性も否定できない。RTX 5090は高価格帯製品であり、同様の事例が今後増加すれば、消費者心理やブランドへの影響も小さくない。

今回の事例は、先代よりも熱対策が強化されたとされるRTX 5090においても、物理的トラブルが依然として潜在していることを示すものといえる。

純正ケーブル使用でも焼損発生 Reddit投稿が示す5090世代のリスク

Redditユーザー「Roachard」による投稿で、MSI製GeForce RTX 5090 Gaming Trio OCとCorsair SF1000L電源ユニットを用いたPC構成において、12V-2×6電源コネクターの一部が焼損した事例が報告された。オーバークロックは行っておらず、使用ケーブルも純正品であったことから、想定外の損傷である

ケーブル端子付近のプラスチックが溶け、グラフィックカードおよび電源ユニット側の接続部にも損傷が認められたとされる。投稿には損傷箇所を写した複数の画像が添付され、異常の具体的な様相が記録されている。

注目すべきは、同様の焼損報告がこれまでのRTX 5090ではまだ多数報告されていない点である。Nvidiaは当該モデルにおいて熱処理設計を従来世代より強化したと説明していたが、それでも高出力GPUの安定性に関する課題がなお残っていることを示す可能性がある。

カードの販売価格が4,000ドル近くに及ぶ中でのこのような故障は、購入者にとって大きな痛手であるとともに、設計・製造段階における品質管理の体制が改めて問われることとなる。

高価格帯GPUに求められる設計の信頼性と現実との乖離

GeForce RTX 5090は、Nvidiaが誇る最新かつ最高性能のGPUとして、性能・価格ともに市場の頂点に位置づけられている。今回報告された焼損事例では、AMD Ryzen 7 9800X3DおよびAsus ROG Strix B650E-Iマザーボードを中心とした小型で堅実な構成が採用されており、パーツの組み合わせに無理は見られない。

それだけに、使用開始から1か月足らずでグラフィックカードが故障し、使用不能に陥ったという事実は衝撃的である。

ハイエンドGPUでは、消費電力と発熱が設計の大きな課題であり、12V-2×6といった新世代の電源コネクターはその対応策とされてきた。しかし、今回のように純正ケーブルであっても損傷が発生した事例は、接触圧やケーブル挿入状態、熱伝導設計における見直しが必要である可能性を示唆している。

高価格ゆえに安定性を最も重視すべきこのクラスの製品において、物理的欠陥があれば信用失墜は避けられず、メーカー側には真摯な検証と対応が求められる。設計思想と現実の運用との間にあるギャップが、今後の信頼性評価に影を落としかねない。

Source:ExtremeTech