NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 5060 Ti」および「RTX 5060」が出荷書類で確認され、128ビットのメモリバスと最新のGDDR7メモリを搭載していることが明らかとなった。基板「PG152」およびシリコン「GB206」を採用し、特にGDDR7導入による帯域幅は最大448GB/sに達し、前世代比で約55%向上する見込みである。

RTX 5060 Tiは8GBと16GBの2モデル、RTX 5060は8GB構成で登場が予定されており、CUDAコア数は3,840基、TDPは180Wとされる。出荷情報の性質上、正式発表前の情報ながら、これらの詳細は複数のリーク情報とも整合性があり、信頼性が高いと見られている。

価格帯は299ドルから499ドルに設定される可能性があり、競争の激しいミドルレンジ市場で性能とコストバランスが成否を分ける鍵となる。

GDDR7と128ビットバスがもたらす性能的インパクト

RTX 5060シリーズに採用されたGDDR7メモリは、従来のGDDR6と比較して帯域幅の飛躍的な向上が可能となり、特にRTX 4060 Tiとの比較では最大55%の性能改善が見込まれている。

128ビットのメモリバス自体は物理的な制約として変化がないが、GDDR7の高転送速度によってその制約を一定程度補完している点は見逃せない。今回の出荷情報で確認された448GB/sという帯域幅は、これまでハイエンドモデルでしか見られなかった水準に迫っており、ゲームや高負荷グラフィックス処理における実用性を大きく押し上げる要因となる。

特に8GBおよび16GBというVRAM構成の違いは、ユーザーの用途に応じた選択の自由度を提供し、コンテンツ制作やAI処理などメモリ負荷の高い用途においても差別化が図られている。

TDPが180Wと比較的高めに設定されている点も、処理性能を重視した設計思想の現れと見ることができる。低価格帯であってもメモリ技術に大胆な刷新を加えることで、次世代GPUとしての存在感を示そうとするNVIDIAの意図がうかがえる。

RTX 5060シリーズが狙う価格帯市場とその戦略的課題

RTX 5060とRTX 5060 Tiは、それぞれ299ドルおよび399~499ドルという価格帯での展開が見込まれており、これはゲーミング向けGPU市場の中でも競争が特に激しいレンジに位置している。

この価格帯では、性能とコストのバランスに敏感な層が多く、単純なスペック向上では選ばれにくい傾向がある。したがって、GDDR7による帯域幅の向上が数値上の優位性だけでなく、実際の体感性能の向上につながるかが鍵となる。

特にRTX 4060シリーズの評価が分かれた経緯を踏まえると、今回の5060世代では“必要十分な性能”と“納得できる価格”の両立が問われる。

8GB構成のRTX 5060はコスト重視層、16GB構成のRTX 5060 Tiは中級以上の用途を意識した構成と考えられるが、為替変動や部材コストによっては価格戦略に狂いが生じる可能性もある。競合製品との相対的優位性を確保できなければ、メモリ技術の刷新も市場では正当に評価されないリスクがある。

Source:Wccftech