任天堂の次世代機「Switch 2」に関する技術仕様が明らかとなり、Nvidiaのカスタムチップ「T239」が採用されていることがDigital Foundryにより報じられた。T239は自動運転向けのT234 SoCを基に開発されたとされ、Ampereアーキテクチャに基づいたGPUを搭載している。

12コアのARM A78AE、CUDAコア数1536、LPDDR5対応の128-bitメモリインターフェースなど、据置型と携帯型のハイブリッド機としては異例の構成であり、PS4に迫る性能が期待されている。

さらに、DLSS技術の搭載により最大4K/120fpsへの対応も視野に入り、2025年後半にはAAAタイトルへの対応が加速するとの見方が強まっている。

Nvidia T239の構造と性能指標から見るSwitch 2の設計思想

Digital Foundryの分析によれば、Switch 2に採用されるNvidia T239は、自動運転用途で知られるT234をベースにしたカスタムプロセッサである。12コアのARM A78AEから8コアのA78Cへの移行、CUDAコアの削減、メモリ帯域幅の縮小など、消費電力と携帯性を重視したチューニングが随所に見られる。これらの仕様は、従来機の特長であったハイブリッド設計の継承を意味する。

メモリはLPDDR5対応の128-bitインターフェースで、帯域幅は最大102GB/sと推定されている。これはハイエンド機に比べれば控えめながら、DLSSなどのAI補完技術との併用を前提とした構成と考えられる。また、GPUアーキテクチャにAmpere世代を用いることで、レイトレーシングやAI推論処理といった近年の処理系への対応も視野に入れている。

性能面では、CUDAコア数が1536と、RTX 3050クラスのスペックに近接しており、AAAタイトルに対する一定の再現性が確保されている。携帯機としては破格の描画能力であり、後述するDLSSとの連携次第で据置機を凌駕する瞬間的な描画力を発揮する場面も期待される。

DLSSの統合がもたらすゲーム体験と開発戦略への影響

Switch 2に搭載されるT239は、DLSS(Deep Learning Super Sampling)との親和性を重視して設計されているとみられる。DLSSは、AIによるアップスケーリング技術であり、実際のレンダリング解像度を抑えながら、高解像度に匹敵する映像を生成する。これにより、T239が持つリソースの制限を補いつつ、最大4K/120fpsという高性能な映像体験を実現する余地が生まれる。

従来の携帯型ゲーム機では不可能だった高精細なグラフィックスや高フレームレート表現が、DLSSの導入によって現実的なものとなる。GPU性能が抑制されている中でも、リアルタイムなレンダリング処理を高度に補完する技術として、DLSSは今後のゲーム開発において極めて重要な役割を果たすだろう。

一方、開発者側にとっては、従来のネイティブ解像度重視の設計から、AI補完を前提とした最適化へと発想の転換が求められる。AAAタイトルを含むサードパーティ製の大作が増加するとの観測もある中で、DLSSの有効活用は、Switch 2の成功可否を左右する戦略的な鍵となる可能性がある。

Source:KitGuru