Nvidia(NVDA)の株価がトランプ前大統領による関税発表の影響で1週間に10%以上下落したことを受け、Altimeter Capital創設者のブラッド・ガーストナー氏は「今が買い時」と主張した。彼は、GoogleやTeslaなどからの旺盛なGPU需要に加え、トランプ氏が半導体製品を関税対象から除外した点を評価し、自らもNVDA株を購入したと明かした。
一方、HSBCのアナリストは成長鈍化や新型GPU「Blackwell」の供給体制に不安を示し、同株の格下げを実施。Nvidia株を巡る市場の見方は分かれている。
ガーストナー氏が注目する「GPU需要」と「関税回避」の二重構造

Altimeter Capitalの創設者ブラッド・ガーストナー氏は、Nvidia株の急落を「絶好の投資機会」と捉え、自らも実際に株式を購入したと公言している。彼の見立ては、2つの指標に集約される。ひとつは、GoogleやTeslaなどの巨大テクノロジー企業からのGPU(グラフィックス処理ユニット)需要が依然として強靭であるという点だ。生成AIや自動運転分野の進展により、GPUは今後もインフラの中核を担うと考えられており、その需要の高さがNvidiaの業績を支えるとする判断は、一定の合理性を持つ。
もうひとつの要素は、トランプ前大統領が半導体製品を新たな関税対象から除外したという事実である。ガーストナー氏はこれを評価し、国内で設計され海外製造されたNvidiaのチップに追加コストがかからない可能性があることを指摘する。これは、政治リスクに対する一種の「緩衝材」として機能する。
ただし、政治的決定が今後も継続する保証はなく、関税政策は政権交代や国際情勢の変化によって容易に転換される。現状では市場心理にとってプラスに働く要素とされているが、構造的な安定性を意味するものではない。長期投資家にとっては、この点を慎重に見極める必要がある。
成長鈍化と新型GPUへの懸念が生む市場の温度差
Nvidiaに対する強気な見解とは裏腹に、HSBCのアナリストであるフランク・リー氏は、同社株の格下げに踏み切った。彼の判断は、トランプ氏の関税政策とは関係が薄く、むしろNvidiaの成長エンジンに変調が見られることに起因している。具体的には、過去3四半期にわたり業績およびガイダンスにおけるポジティブサプライズの規模が縮小していることを指摘。企業としての期待値が過熱する一方で、その実態とのギャップが広がっていることが懸念材料とされる。
さらに、Nvidiaが投入を予定している次世代GPU「Blackwell」の供給体制が不透明である点も見逃せない。不確実性が高い中で市場は過大な期待を寄せており、それが今後の失望要因に転じるリスクも孕んでいる。Nvidiaはこれまで驚異的な収益成長を遂げてきたが、その背景には技術革新の波に乗るタイミングの妙があった。
現在は、生成AI市場が成熟しつつある過程で競争も激化しており、過去のような突出した成長が継続するとは限らない。ゆえに、ガーストナー氏のような強気派と、リー氏のような慎重派の間で評価が分かれるのは自然な成り行きである。投資家は、株価の短期的な動向に目を奪われることなく、中長期の成長性とリスクを丁寧に見極める必要がある。
Source:Watcher Guru