4月7日、パランティア・テクノロジーズ(NASDAQ: PLTR)の株価が急騰し、取引停止ルールが発動される事態となった。背景には、同週に急増したオプション取引の動きがある。特に80ドルコールと60ドルプットの活発な売買が目立ち、市場は70~80ドルの価格帯に注目している。
一方、依然として予想PER246倍・P/S62倍という高い評価水準が続いており、売却対象としての脆弱性も残る。国防総省との契約リスクが囁かれる中、強気派は独自の「オントロジー」技術に期待を寄せており、投資家心理は割れる展開となっている。市場の不確実性が高まる中、個人投資家と機関投資家の思惑が交差する形で、PLTR株は今後も高いボラティリティを伴う可能性がある。
オプション市場が示す価格帯とボラティリティの予兆

パランティア株は4月7日の取引開始直後に急騰し、LULD(価格変動制限)ルールにより一時取引が停止された。わずか数日前には約15%の下落を見せたばかりであり、この急変動の背景にはオプション取引の異常な活発化がある。特に80ドルのコールオプションと60ドルのプットオプションに集中しており、4月11日終了週にかけて出来高が著しく増加した。これにより、トレーダーたちは株価が70~80ドルのレンジに向かうと見ていることが浮かび上がる。
注目すべきは、こうしたオプションの売買が短期的な思惑にとどまらず、価格の支持・抵抗帯として機能する可能性がある点である。買い手の大量流入により70ドルを回復した動きは、底打ちのシグナルと捉える向きもあるが、同時に再び投機的な圧力が高まっているとも言える。過去数週間での乱高下と取引量の増加は、今後も高ボラティリティが継続することを市場が織り込み始めている兆しである。
高すぎるバリュエーションに潜む構造的リスク
パランティアの予想PERは246倍、P/S比率は62倍と、いずれも市場全体から見て際立って高い水準にある。2月時点でのPER100倍超からはやや下がったものの、それでもなおこの評価は割高との見方が根強い。テクノロジー銘柄への資金流入が続く中、機関投資家がポートフォリオ調整のために利確対象とする銘柄の一つにPLTRが含まれる構図も、その高評価が裏目に出た結果である。
ただし、従来型のSaaS企業やクラウド特化型とは異なり、パランティアは「オントロジー」と呼ばれる独自の運用層を武器に、LLMを用いた情報統合と実用的な示唆の提供を可能にしている。この構造が単なるソフトウェア企業とは一線を画す存在感を生み、強気の投資家の根拠ともなっている。しかし、米国国防総省との契約見直しの報道が浮上するなど、公共部門に依存する収益モデルにはリスクも付きまとう。成長の裏にある脆弱性は、今後の評価見直しに影響する要素として注視すべきである。
Source:Entrepreneur