旧MicroStrategyのStrategy社が、2025年3月末から4月初旬にかけてビットコイン購入を突如停止した。過去数週間で計2800億円以上を投じていた同社が取引を中断した背景には、トランプ元大統領による関税政策導入に伴う市場の急落があるとされる。

2025年第1四半期だけで8万BTC以上を取得し、保有量は52万BTC超。平均取得価格は約6万7千ドルとされる中、現在の価格は8万ドルを下回っており、含み益の不安定化も懸念される。市場では、Strategyの次の判断が仮想通貨全体に与える影響が大きいとの見方が強まっている。売却に転じれば、価格の急変動も十分にあり得る局面である。

異例の停止判断 22,048BTC取得直後に見せた急ブレーキ

Strategy(旧MicroStrategy)が、過去最大規模となる22,048BTCを取得した直後に、ビットコイン購入を完全に停止した。取得総額は19.2億ドル、前週にはさらに6,911BTCを5.84億ドルで購入しており、この2週間での投資規模は25億ドルを超えていた。これにより、2025年第1四半期だけで80,715BTC、累計では528,185BTCの保有に達し、1BTCあたりの平均購入価格は67,458ドルとなっている。

今回の停止は、通常1週間ごとに購入を繰り返していた同社の戦略において極めて異例である。市場では、トランプ元大統領による新たな関税政策が引き金となり、仮想通貨市場全体が不安定化した影響を指摘する声がある。価格が8万ドルを割り込む中で、同社の保有分に対する含み益は縮小しており、資産防衛を目的とした戦略見直しの可能性も否定できない。

この動きは、機関投資家による大量取得とその停止が市場心理にどれほど影響を与えるかを浮き彫りにした。短期的な価格調整を見越した慎重な構えか、あるいは次なる戦略的再配分の準備か。市場の視線はStrategyの今後の一挙手一投足に注がれている。

ビットコイン市場の信認に揺らぎ 関税リスクと大量保有の影響

Strategyは現在、356.3億ドルに相当するビットコインを保有し、その量は52万8,000BTC超に達する。これは市場流通量の相当部分に匹敵し、単一企業としては突出した規模である。市場において同社の買いが価格を下支えしてきた事実は否定できず、その行動は事実上、価格動向のバロメーターの一つと見なされていた。

このような状況下での購入停止は、市場にとって単なる個別企業の判断では済まされない。保有量が大きいため、仮に売却に転じれば市場全体に連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。現時点では売却の兆候は明確ではないものの、関税紛争によるグローバル経済の減速懸念が拡がるなか、仮想通貨の信認そのものに不安が広がる局面に入りつつある。

また、平均取得価格が約6万7千ドルであることから、現在の価格水準では含み益が残っているものの、下落が続けばその優位性も相対的に低下する。市場の信頼は、今後の価格変動と同社の動向によって大きく左右される局面にある。価格形成における集中リスクが、再び議論の俎上に上ることになりそうだ。

Source:Coindoo