4月7日の米国株式市場は、関税に関するトランプ前大統領の発言を発端とする報道が交錯し、主要指数が大きく乱高下した。S&P500は0.3%下落、ナスダック総合指数はわずかに上昇して取引を終えた。このような中、半導体大手NVIDIAは一時8.2%安まで売り込まれながらも、最終的に3.5%高で終える強さを見せた。

半導体製品が新関税の対象外とされる可能性や、一部交渉再開の兆しが投資家心理を支えたと見られる。ただし、90日間の関税停止報道がホワイトハウスに否定されるなど、政策の不透明さが依然として残り、市場の神経質な動きが続くことが予想される。

トランプ氏の関税発言が招いた急変動とNVIDIA株の意外な強さ

2025年4月7日の米国市場では、トランプ前大統領がTruth Social上で中国に対し「追加で50%の関税を課す」と発言したことが引き金となり、序盤から株式市場は大幅下落に見舞われた。これによりNVIDIAを含むハイテク株は急速に売り込まれ、一時は8.2%もの下落を記録した。しかしその後、米政府が一部の国を対象に新関税の90日間の停止措置を検討しているとの未確認報道が流れ、市場は急反発。S&P500は0.3%安にとどまり、ナスダックは0.1%上昇へと転じた。

NVIDIAはこの日、最終的に3.5%の上昇で取引を終えた。報道が否定された後も買い戻しが継続した背景には、半導体製品が関税強化の直接的な対象外である可能性が高いとの見方がある。また、過去の米中貿易摩擦においてもNVIDIAの業績は短期的な影響を受けつつも、長期的には回復してきた実績が市場に安心感を与えた。

市場は情報の錯綜により過敏な反応を示したが、そのなかでNVIDIAが終値ベースでプラスを維持した点は注目に値する。価格変動が極端となった背景には、高成長株に集中する過剰な投資資金とアルゴリズム取引の影響もあると見られる。

マクロ経済の不透明感とNVIDIAへの影響

現在の国際情勢下では、関税やインフレの進展、消費需要の変動といったマクロ要因が複雑に絡み合っている。今回の関税を巡る報道においても、実際の政策決定に至っていない段階で市場が過剰に反応した背景には、投資家の不安心理が強く働いている。NVIDIAのようにサプライチェーンが広範囲に及ぶ企業は、たとえ自社製品が関税対象外であっても、取引先の動向や部材コストの変動によって収益が左右されやすい。

特にAI関連の需要が急増している現在、NVIDIAの顧客企業は大型の設備投資を控えているケースが多く、不透明な経済環境では投資計画の先送りや規模縮小が懸念される。したがって、半導体企業としてのNVIDIAの評価は単なる関税の有無では語れず、今後の経済成長見通しやインフレ動向、金融政策の方向性に強く依存しているといえる。

一方で、AI市場の拡大が構造的なものであるとの認識は根強く、中長期的に見ればNVIDIAの成長余地は依然として大きいと考えられている。ただし、短期的な乱高下は避けがたく、今後も政局や貿易政策に関連した一挙手一投足が株価に与える影響は無視できない情勢が続く。

Source:msn