著名リーカーJon Prosserが公開したiOS 19のモックアップにより、Appleが新たなユーザーインターフェース戦略に踏み出す可能性が浮上した。これまでのタブバー中心のナビゲーションから一部のアプリでの非表示化を進める一方で、親しみある構造は残し、新たな操作性と視覚的刷新を融合している。

視覚的進化と従来の使いやすさの両立という試みにより、iOS 19は大胆な刷新ながらも既存ユーザーの信頼を損なわない方向性が見えつつある。

Appleが模索する「親しみ」と「刷新」の融合設計

iOS 19に関するJon Prosserの最新モックアップは、これまでの噂とは一線を画す具体性を伴ったデザイン変更を示している。アプリのアイコン形状は従来の「スキュアクル(角丸四角)」を維持しながらも、配色や陰影に新たな表現が加わっており、外観上の新鮮さを強調している。

一方、アプリナビゲーションでは、従来のタブバーを廃止または隠す構造が取り入れられており、JournalやApple Sportsなど最近のiOSアプリでも同様の設計が確認されている。Prosserのモックアップによれば、ミュージックアプリでは検索バーと新たなタブ収納ボタンが画面下部に配置され、従来のタブ機能を維持しながらも非表示にする柔軟なインターフェースが導入されている。

このような手法は、Appleがユーザーの習熟度と期待値に配慮しつつ、UI刷新というリスクを抑える戦略の一端であると考えられる。過去にはiOS 18の写真アプリのデザイン変更に対する否定的な反応もあったが、iOS 19では反発の回避を見据えた「視覚的な変化と機能的継続性」の両立を狙っているようだ。

結果として、AppleはUI刷新の際に起こりがちなユーザーの混乱や離脱を最小限に抑えつつ、新たな利用体験を提示しようとしている。

タブバー非表示化が示すナビゲーションの再定義

Prosserのモックアップでは、ミュージックアプリをはじめとする一部のアプリにおいて、従来画面下部に常設されていたタブバーが「折りたたみ式」のUIへと変化していることが確認された。この構造では、検索バーや新たな操作ボタンに空間が割かれ、必要に応じてタブを呼び出すという操作形態が導入されている。

これは、タブバーの常時表示が画面のスペースを圧迫するという課題に対するAppleの解法であり、視覚的な簡素化と操作性の向上を同時に図るものと受け取れる。ただし、Apple MusicやNews、TV、App Storeのような情報量が多く、ナビゲーションの頻度が高いアプリにおいては、タブバーの非表示化が操作性を損なう可能性も指摘される。

従来のUIに慣れ親しんだユーザーにとっては、階層構造や操作の一手間が心理的な負担となることもある。したがって、Appleがこの新たなUI構造を全アプリに横断的に適用するか否かは注視すべき点であり、今後のWWDCでの公式発表がその方向性を明らかにするだろう。Appleが試みているのは、あくまでも「隠すことで見せる」ナビゲーション設計の再定義である。

Source:9to5Mac