米クルーズ大手カーニバル社(CCL)の株価が、1月の高値から約40%下落し17.26ドルまで調整した今、複数の市場アナリストは同銘柄を引き続き強気に評価している。BarchartとYahoo! Financeの調査では平均目標株価が28.48ドルと、現在値に対して約65%の上昇余地を示唆。また、実績に裏打ちされたパフォーマンススコア上位アナリストによる目標株価も26.60ドルと高水準を維持する。

こうした評価は、同社が直近四半期でフリーキャッシュフローを黒字化した事実や、キャッシュ担保付きショート・プットといったオプション戦略による利回りの高さにも支えられている。株価低迷が続く中、ロールオーバーを活用した戦略的なエントリーも注目を集めている。

割安感を強めるカーニバル株の足元のファンダメンタルズ

カーニバル社(CCL)は、2025年1月に記録した28.49ドルの高値から約40%下落し、4月8日時点で17.26ドルと低迷している。株価は一時16.43ドルまで落ち込んだが、これは長期投資家にとって「押し目」と捉えられうる水準である。

特筆すべきは、同社が直近の四半期でフリーキャッシュフローを黒字転換させた点であり、事業の回復基調を裏付ける実績といえる。また、BarchartおよびYahoo! Financeのデータによれば、平均目標株価は28.48ドルであり、現在の水準から約65%の上昇余地があると算出されている。

加えて、AnaChartの分析では、パフォーマンススコアで上位に位置する5人のアナリストによる平均目標株価が26.60ドルとなっており、これも現水準を大きく上回る。さらに注目すべきは、SusquehannaのストラテジストであるChristopher Stathoulopoulos氏が、過去の予測的中率100%という実績とともに、22.00ドルという現実的な目標を提示している点である。このように、複数の評価機関が同時に強気姿勢を維持する背景には、単なる株価調整では説明できない定量的な改善がある。

高利回りを狙うショート・プット戦略とリスクの許容範囲

現在のCCL株に対しては、キャッシュ担保付きショート・プット戦略が収益性の高い手段として注目されている。2025年3月時点では、4月25日満期の20.00ドル行使価格のプットオプションが0.78ドルのプレミアムを生んでおり、利回りは3.90%に達していた。しかし株価がこれを下回ったことで、同戦略は含み損を抱える局面に転じている。現在の株価(17.26ドル)では、損益分岐点である19.22ドルから約10%の乖離が生じており、ポジションの継続には追加の戦略が求められる。

その一例が「ロールオーバー」である。4月25日満期のプットを買い戻し、6月20日満期の同一行使価格プットを新たに売ることで、ネットクレジットを得ながら損益分岐点を引き下げることが可能となる。この場合、損益分岐点は18.77ドルへと再設定される。

短期的にはリスクを伴うが、CCL株が中期的にアナリストの目標株価に近づく可能性を見込むならば、こうした戦略的展開は合理性を持つといえる。特に、元本の安全性と収益確保の両立を図る手段として機能する場面もある。

Source:Barchart