Appleが2025年に発表を予定しているとされる次世代イヤホン「AirPods Pro 3」は、心拍数や体温を測定可能な生体センサーの搭載、H3チップによるノイズキャンセリング性能の向上、さらにインタラクティブなタッチスクリーン付きケースの登場が噂されている。

Bloombergや著名アナリストの見解をもとに、同製品は5〜6月、あるいは例年通りの秋にiPhone新機種と同時発表となる可能性が高い。加えて、iOS 19と連携したリアルタイム翻訳機能の追加も報じられており、AppleがAirPodsを単なる音楽機器からウェアラブル端末へと進化させようとしている兆しが色濃く表れている。

競合製品との機能差を広げる形で、ケースのリモート操作や装着者の生理データ取得を通じた新たなユーザー体験を狙っていると見られる。

健康管理を支援する生体センサーの搭載可能性

AirPods Pro 3に関して注目すべきは、心拍数センサーや温度測定機能といった生体センサーの導入が検討されている点である。これは既にPowerbeats Pro 2に心拍数測定機能が搭載されていることに加え、Appleが“ウェアラブルによる健康管理”という長期戦略を追求していることを裏づける流れでもある。

加えて、ミンチー・クオ氏の分析によれば、将来的には赤外線カメラの搭載により環境認識や空中操作といった高度な機能が視野に入っているという。これらの機能が実装された場合、単なるイヤホンという枠を超え、ユーザーのバイタルデータを常時取得するヘルスケアデバイスとしての役割が大きくなる可能性がある。

特に心拍数や体温といった基本的なバイタル情報の取得は、日常的な健康状態の把握だけでなく、フィットネス用途や医療分野との連携に広がる可能性を持つ。Apple Watchに続く第二の健康プラットフォームとしての立ち位置を確立できるかが注目される。

タッチスクリーン搭載ケースによるUXの転換点

Appleは2022年に、イヤホンケースにタッチスクリーンを搭載する特許を出願しており、これがAirPods Pro 3での搭載に向けて現実味を帯びてきている。このケースはリモートコントローラーとしての機能を担い、再生・停止・音量調整といった操作を直接ケース上で行うという革新的なユーザー体験を提供する可能性がある。

また、ケースそのもののサイズが小型化され、従来の物理ボタンがタッチ式に置き換わる構想も伝えられている。こうした機能は、競合ブランドであるJBLなどがすでに一部採用しており、Appleとしても独自性と利便性を兼ね備えた設計で巻き返しを図る意図が見て取れる。

従来のイヤホンケースが「ただの充電器」であったことを考えると、タッチスクリーンの導入はAirPodsというプロダクトの使用文脈を大きく変える転換点となり得る。音響機器の枠に収まらないUI進化の先に、Appleが描く“ポケットに入るスマート端末”のビジョンが垣間見える。

H3チップとリアルタイム翻訳がもたらす体験の変質

新たに搭載されるとされるH3チップは、音質や通話品質、ノイズキャンセリングの向上だけでなく、Apple Vision Proとの連携を視野に入れた低遅延通信やロスレスオーディオへの対応も担うとされる。これは単なるスペック向上にとどまらず、Appleが独自のエコシステム内での横断的な製品連携を強化する意図を感じさせる。

ユーザーにとっては“つながる快適さ”の体験領域が広がる結果となるだろう。さらに注目されるのが、iOS 19との連携によって可能となるリアルタイム翻訳機能の追加である。この機能は、AirPodsを通じて外国語を聞き取り、翻訳内容をiPhoneのスピーカーから第三者に伝える仕組みで、国際的なビジネスや旅行シーンでの即時的な言語支援に活用される可能性がある。

音響機器の枠を超えたコミュニケーションツールとしての進化は、AirPods Pro 3の位置づけに大きな変化をもたらす兆しである。

Source:CNET