米下院議員マージョリー・テイラー・グリーンが、関税導入による株価急落の局面を利用し、大手テック、金融、物流など多岐にわたる銘柄を新規取得していたことが明らかとなった。財務開示書によれば、取引は1件あたり1,001〜15,000ドルの範囲で、AmazonやApple、JPMorgan Chase、Caterpillarなど計15銘柄に分散されている。2024年に入ってから彼女の投資成績は回復基調にあり、従来の揶揄的な評価が見直されつつある中、今回の動きは市場心理を巧みに突いたものと見られる。
財務開示に見る銘柄選定の傾向と変化

2025年4月4日に開示されたマージョリー・テイラー・グリーンの最新取引履歴では、関税による市場下落を契機に多様なセクターへ分散投資を図った姿勢が顕著となっている。Amazon、Appleといったテック大手に加え、QualcommやLam Researchなど半導体関連、さらにはJPMorgan ChaseやBerkshire Hathawayといった金融株も組み込まれ、過去に偏重が指摘されていた構成からの脱却が見て取れる。
さらに、CaterpillarやFedEx、UPSといった物流・工業系企業、NikeやLululemonといった消費関連企業にも資金を振り分けている点は、経済全体の循環を見越した慎重なアプローチとも読める。
各銘柄は1件あたり最大15,000ドル規模で購入されており、全体のポートフォリオを一気に傾けるのではなく、相場全体の不安定性を織り込んだ段階的かつ戦略的なエントリーを意図している可能性が高い。従来「逆指標」として揶揄されてきたグリーン氏の投資だが、2024年以降の成績改善は、銘柄の入れ替えとセクターの拡張が功を奏していることを示唆する。議員としての立場が故に注目度は高いが、それ以上に個別株の選定とタイミングにおいて現実的な対応力がうかがえる。
株式市場の乱高下とグリーン氏の投資行動の意味
関税導入の報道が市場全体の売りを誘発し、特に国際輸送、製造業、半導体セクターに対する警戒感が高まる中、マージョリー・テイラー・グリーンはむしろその逆を突くように買いを入れた。この行動は、短期的な市場の反応よりも中長期の企業価値回復や成長を重視する立場を強く反映していると見られる。特にImpinjやRHといったニッチな銘柄への投資は、一定の情報収集や企業理解を前提とした判断であり、単なる政治家の“話題作り”とは異なる様相を呈している。
財務開示制度により議員の取引は公開されているものの、それが市場の信認や資金の流れに与える影響は限定的であるとされてきた。しかし今回のように関税というマクロ要因を材料に動いたことで、議員取引が投資戦略の一つとして注目される余地は広がっている。
もっとも、グリーン氏の動きは依然として試行錯誤の過程とみなすべきであり、過去の失敗例を踏まえても安易な追随はリスクを孕む。だが、株価調整局面において冷静に分散投資を行う姿勢は、市場に対する一つの応答例として注目に値する。
Source:Finbold