2025年第1四半期、テスラ(NASDAQ: TSLA)株に対する機関投資家の資金流入が前期比で95.12%減少し、520億ドルからわずか25.4億ドルまで落ち込んだ。さらに資金流出も98.89%減の232万ドルとなり、売買双方で市場の沈黙が際立つ。

この異例の取引低調は、機関投資家が新規購入を控えつつも保有維持を選択している姿勢を示唆する。一方で、過去1年間では依然として411億ドル超の純流入があり、全体としては信認が崩れていないとも読み取れる。

テスラ株は直近で7%上昇し248ドルを記録。市場では関税懸念やCEOマスク氏の政治的発言が波紋を広げる中、Wedbush証券のダン・アイヴズ氏は目標株価を大幅に引き下げながらも「アウトパフォーム」を維持している。

テスラ株への機関投資、95%減少の背景と資金流出の異常な沈静

2025年第1四半期、テスラ株への機関投資家の資金流入が520億ドルから25.4億ドルへと95.12%も激減した事実は、単なる市場の調整とは異なる深刻な投資動向の変化を示している。同時期、資金流出も98.89%減の232万ドルと著しく縮小し、売買の両面において取引の停滞が浮き彫りとなった。これは投資家が新規取得にも売却にも慎重な姿勢を取っていることを示唆しており、ポジション維持を優先する保守的なスタンスが強まったと読み取れる。

この異変は、テスラが直面している市場外の要因とも無関係ではない。2024年末以降、同社は関税の問題、政治的な発言によるイメージ毀損、さらに消費者によるボイコットの影響も重なり、従来の成長期待が鈍化した可能性がある。また、これまで高い成長率と収益性を武器に機関投資家の注目を集めてきたが、現在のように政治と経済が絡み合う不透明な状況下では、機関の判断基準も変容せざるを得ない。

このような資金流入・流出の低調は、短期的にはテスラ株の流動性に一定の影響を与えるものの、機関全体で見ると、依然として66.2%という高い株式保有率を維持しており、長期的な信頼が完全に失われたとは断じられない。むしろ、今後の事業戦略や政策的リスクの整理が明確になるまでは、静観する姿勢が続くと考えるのが妥当である。


Wedbushが目標株価を315ドルに下方修正 テスラ株への評価と市場心理の揺れ

ウォール街においてテスラの代表的な強気派で知られるWedbush Securitiesのアナリスト、ダン・アイヴズ氏が、目標株価を550ドルから315ドルへと引き下げた判断は、市場全体に衝撃を与えた。2025年4月時点でテスラ株が248ドル前後で取引されていることを踏まえると、この修正は現実的な水準への調整と見る向きもあるが、これまでの強気姿勢との乖離が際立つものとなった。

下方修正の背景には、CEOイーロン・マスク氏の政治的発言や姿勢が影響しているとされ、同氏の言動が企業イメージや投資判断に影響を及ぼす度合いが増している点は看過できない。加えて、EV市場全体が競争激化と政策の揺らぎにより不透明感を増している中、従来の高評価を維持することが困難になってきた。とはいえ、アイヴズ氏は依然として「アウトパフォーム」の評価を維持しており、テスラの中長期的な競争力と再起への期待を手放したわけではない。

投資家心理の面では、こうした目標株価の大幅な引き下げはリスク資産全体への警戒感を高める要因ともなり得る。一方で、株価は一時的に上昇していることから、短期的な反発や調整は織り込み済みとの見方もある。テスラが今後、明確な成長戦略と経営の安定性を示すことで、機関投資家の信頼回復に向かえるかが焦点となる。

Source:Finbold