世界的な株式市場の急落により、著名な富豪たちが数十億から数百億ドル規模の損失を被る中、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットだけが資産を増やすという異例の結果となった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、彼の純資産は年初から115億ドル増加し、世界第4位の富豪に浮上した。
バフェットはApple株の売却と現金比率の引き上げにより、市場の混乱を機会へと転換させた。一方、テスラのイーロン・マスクは1,350億ドル、Amazon創業者のジェフ・ベゾスは426億ドル、Metaのマーク・ザッカーバーグは245億ドルの損失を出している。
こうした巨額損失の背景には、株価に依存する資産構造とその変動リスクがあり、バフェットの運用手法が際立った形で評価されている。
資産減少が相次ぐ中、バフェットが唯一の増益を記録

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、2025年初頭からの市場混乱で、世界の主要な富豪たちが軒並み純資産を減らす中、ウォーレン・バフェットだけが資産を増加させた。Apple株の売却により現金比率を高めた戦略が奏功し、年初来で115億ドルの純資産増という結果を導いた。これにより、彼は世界第4位の富豪としての地位を維持した形となる。
他方、イーロン・マスクはテスラ株の下落を受けて1,350億ドルの減少、ジェフ・ベゾスは426億ドル、マーク・ザッカーバーグは245億ドルを失っており、その損失額の大きさが際立つ。これらの人物に共通するのは、自身の資産構成が自社株に大きく依存している点である。株価急落が直撃したことで、資産全体に甚大な影響が及んだ。
市場が不安定化する中、株式以外の資産構成や流動性の確保が、資産防衛の鍵となり得ることを改めて示す事例となった。バフェットの判断が注目を集めるのは、過去の経験則に基づく冷静な行動による成果とみる向きがある。
現金保有と分散の徹底がもたらした防御的優位性
Apple株の一部を売却し、現金ポジションを拡充したウォーレン・バフェットの対応は、短期的な市場変動への耐性を高める結果をもたらした。市場が混乱する局面において、流動性の高い資産を確保しておくことの重要性が浮き彫りになったといえる。現金保有は下落相場での買い増し余地を広げるだけでなく、資産全体の変動幅を抑える働きもある。
また、バフェットは自社株や単一業種への依存度を抑えており、テック株に過度に集中した他の富豪たちとは一線を画す。マスクやザッカーバーグ、ベゾスはいずれもテック大手の創業者であり、その資産の多くが自社の株価に連動する構造となっている。この構造的な違いが、今回の損益差に大きく作用した可能性は否定できない。
市場の急変時には、単なる資産の規模よりも構造が問われる。今回の事例は、分散と現金比率の適正化がいかに資産の安定性を保つかを明確に示している。短期のリスクを見越した資産管理のあり方が改めて問われる局面である。
Source:Entrepreneur