トランプ政権による輸入品への一律関税措置が市場に混乱をもたらし、株式相場は急落。だが「オマハの賢人」ウォーレン・バフェットは冷静さを崩さず、バークシャー・ハサウェイの保有銘柄に注目が集まる。中でもAppleとMastercardは、長期的な成長ポテンシャルと堅牢なビジネスモデルにより、市場動揺を逆手に取る可能性を秘めている。
Appleは5000億ドル規模の米国内製造投資と、1億件超の有料サブスクリプションを核とするサービス事業により収益基盤を多様化。一方、Mastercardはインフレ時の手数料増収や国際市場での拡大余地により、景気後退リスクを一定程度吸収可能とされる。
長期的な収益基盤を再構築するAppleの戦略的布石

Appleは、トランプ政権による関税政策により製造コスト上昇の打撃を受けているが、その影響を中長期的に緩和する方策を明確に打ち出している。特に注目すべきは、今後4年間で5000億ドルを投じて米国内製造能力を強化する計画である。
中国やインドへの依存からの脱却は、関税リスクを軽減するのみならず、地政学的な緊張に備えた供給網の再構築とも位置付けられる。また、価格上昇分を顧客に転嫁してもブランド力で販売を維持できるという強みも、他の電子機器メーカーとは一線を画す。
このような対応策の根底には、Appleが単なるハードウェア企業ではなく、サービス業への構造転換を進めているという背景がある。10億件超の有料サブスクリプションは、iPhoneなど既存端末の稼働台数23.5億台と密接に連動しており、ユーザー基盤を活かした収益源となっている。
今後もクラウド、ヘルスケア、フィンテック分野の強化により、関税の影響を受けにくい成長軸を拡充する可能性がある。短期的な下落局面においても、Appleが依然として投資対象となり得る理由はここにある。
Mastercardが握るインフレ下の優位性とグローバル成長の余地
Mastercardは、グローバル決済ネットワークの中核企業として、景気減速時の支出減少リスクを抱えつつも、インフレ環境下では手数料増収という逆風下の追い風を得る可能性がある。同社の手数料は取引金額に応じて決まるため、物価が上昇すれば金額あたりの手数料も自動的に上昇する構造を持つ。
これにより、取引回数が多少減っても売上の下支えとなる。また、現時点で現金や小切手の使用が根強く残る市場において、キャッシュレス化の進展が同社の長期的な成長余地を広げている点にも留意すべきである。
さらにMastercardの強みは、米国外におけるプレゼンスの高さにある。Visaと並ぶ決済ネットワークの双璧の一角であるが、国際市場への浸透度においてはMastercardの方が優位とされている。特に発展途上国や新興市場では、インフラ整備の進展とともにデジタル決済の需要が拡大しつつあり、同社にとっては成長ドライバーとなり得る。市場が一時的に動揺する局面においても、安定収益と成長性を両立できる同社のビジネスモデルは、資産分散の観点からも評価に値する。
Source:The Motley Fool