Samsungが公開したOne UI 7のカメラ機能詳細により、2022年以降のGalaxyスマートフォンとタブレットに対する進化の全貌が明らかとなった。刷新されたカメラUIは片手操作に最適化され、生成AI編集やRAW画像強化など、プロ顔負けの編集も可能となる。

Logビデオやスローモーション撮影など、一部の先進機能は最新機種限定だが、カスタムフィルターやベストフェイス、画像翻訳の自然描写などは広範なモデルに対応。カメラ体験の底上げを狙う今回のアップデートは、旧型デバイス所有者にも期待感を与えている。

UI刷新とAI活用で変わる撮影体験の重心

One UI 7では、Galaxy S22以降の端末に向けてカメラUIが全面的に見直され、操作系統が画面下部に集約された。この変化により、撮影時の片手操作が飛躍的に向上し、特に大型端末でも指の届きやすさが格段に改善されている。また、生成AIによる編集機能も強化され、影を含めた被写体の削除やスケッチからの画像生成など、手間をかけずに高品質な仕上がりが得られるようになった。

このような改善は、カメラアプリを単なる撮影ツールから、撮影後の編集までを担う統合的な創作空間へと昇華させる意図が感じられる。GoogleやAppleが同様の方向性を見せている中、Samsungも独自のユーザーインターフェースとAI技術の融合によって、写真と動画の可能性を広げようとしている。ただし、こうした恩恵を受けられるのは基本的に2022年以降のフラッグシップに限られるため、旧世代機の持ち主は制限を感じる場面もあるかもしれない。

とはいえ、旧型にも提供されるAI編集の一部機能は非常に実用性が高く、操作の手軽さを重視する層にも受け入れられる可能性が高い。新機能の広がりは、端末の買い替えを検討していないユーザーにも、日常の撮影体験を見直す契機となるだろう。

対応機種に見る機能選別と性能格差の現実

公開された情報によれば、カスタムフィルターやベストフェイスなど多くの新機能がGalaxy S22以降の広範なモデルに導入される一方で、LogビデオやNDフィルターのような高度な撮影機能はS24シリーズやZ Fold 6など、より新しく高性能な端末に限定されている。特にLogビデオは映像制作者にとって重要な要素であり、その限定提供はカメラ性能とチップ処理能力の差を如実に物語っている。

また、スローモーション撮影が望遠や超広角カメラで可能になるのも最新機種に限られており、2024年モデルですら一部非対応となっている点は注目に値する。Samsungは世代ごとのハードウェア進化に応じた機能割り振りを行っており、性能に余裕のある端末のみが高度な処理を享受できる構図となっている。

このような対応機種の選定は公平性の観点では疑問が残るが、処理能力やセンサー性能が密接に関係する機能である以上、一律対応は技術的にも難しいと考えられる。ただし、利用者の中には、外見上の違いが少ないにもかかわらず機能差が大きいことに戸惑いを覚えるケースもあるだろう。今後は機種ごとの機能比較が、購入時の判断材料として一層重要になっていく。

タブレットにも広がる高機能化の流れ

これまでスマートフォンが中心だった高機能カメラアップデートが、今回のOne UI 7ではGalaxy Tabシリーズにも本格的に展開される。特にTab S8〜S10シリーズにおいては、新UIはもちろん、生成AI編集や画像翻訳の強化といった多岐にわたる機能が提供されており、タブレットを日常的に写真や動画の閲覧・編集に使うユーザーにとって大きな変化となる。

タブレットはスマートフォンに比べてカメラ性能が軽視されがちだったが、今回のアップデートにより、その役割が「見る」から「創る」へと広がっている印象だ。特に、Tab S10では「オーディオイレイサー」や「Auto Trim」など動画編集系機能が強化され、出先での簡易編集ツールとしての実用性も高まっている。

一方で、依然としてLogやExpert RAWといったプロ向け機能はスマートフォン中心の展開にとどまっており、タブレットはあくまで“高機能だが中核ではない”という立ち位置にあるように見える。ただし、こうした機能追加がタブレットにも及ぶ流れは、今後のGalaxy Tabシリーズにおけるカメラ性能の強化と役割の見直しを示唆するものと言えそうだ。スマートフォンとタブレットの境界は、次第に曖昧になりつつある。

Source:Android Authority