Microsoftは、Windows 11のスタートメニューに対し抜本的な改善策を試験中である。従来は複数のクリックを要していたアプリ一覧が、スクロールだけで常時表示される設計へと変更され、グリッド形式やクラシックリスト形式など柔軟な表示切替も可能になる。

加えて、ピン留めアプリの表示行数が制限され、非表示設定も選べるようになるなど、ユーザーインターフェースの整理と視認性の向上が意図されている。これらの変更は、タスクバーの微調整と併せて次期大型アップデート「25H2」で導入される可能性があるが、現時点ではInsider向けの隠し機能にとどまっている。

2021年のリリース以降、評価が分かれてきたWindows 11のスタートメニューだが、今回の改良により、ユーザー体験が大きく進化する可能性がある。

スクロールで全アプリが展開 スタートメニューの再設計が実現する新たなUX

Microsoftは現在、Windows 11のスタートメニューにおいて、ユーザー体験を大幅に見直す設計を試行している。従来の構造では、全アプリの一覧を表示するにはアイコンのクリックを要したが、今後はスクロールのみで全体が展開される構成となる。これにより、検索バーやピン留めアプリの下に、カテゴリごとに整理された全アプリが継ぎ目なく表示されるという。

表示形式にも選択肢が設けられ、従来のクラシックなリストに加え、グリッド形式やフォルダ構成といった視認性と整理性を両立した方法が採用可能となる。また、ピン留めアプリそのものも2行までに制限されるほか、完全非表示設定も実装されており、より柔軟なレイアウトが可能となっている。スタートメニューの幅自体もやや拡張される予定で、視覚的なストレスの軽減も期待される。

これらの設計変更は、Windows Insider向けの開発ビルドで既に試験提供されており、次期大型アップデート「25H2」で一般向けに展開される可能性がある。

ただし、これらの機能は一部がレジストリ編集を必要とする「隠された機能」であり、安定版における標準搭載は確定していない。スタートメニューはWindowsの象徴的要素であるからこそ、今回の大胆な刷新がユーザーにどう受け入れられるかが注目される。

カスタマイズ性と合理性の両立へ Microsoftの設計思想にみる方向転換

2021年のWindows 11公開以降、スタートメニューおよびタスクバーの操作性には一貫して賛否が分かれてきた。特にタスクバーはカスタマイズ性が著しく制限され、多くのユーザーから柔軟性の低さを指摘されてきた。そうした中で今回明らかとなった一連の改善は、Microsoftがこれまでの設計思想を見直し、ユーザーの細かなニーズに応えようとする意志を示すものである。

たとえば、先週試験的に導入されたタスクバーの小型アイコン表示は、単に見た目の美しさに留まらず、限られたスペース内でより多くの情報を視認できるようにする実用的な設計である。これは、機能性と美観の両立を目指す姿勢の現れといえる。また、スタートメニューにおけるピン留めアプリの可視・非表示選択、アプリ一覧の即時表示機能なども、個人の使用スタイルに寄り添う柔軟性を備えている。

こうした動きは、Start11などの外部ツールに依存していたカスタマイズ要求を、公式機能として吸収しようとする流れと重なる。ただし、Insiderビルドでの試験段階にあるこれらの要素が、正式リリースまでにどのように精査され、安定性と安全性を確保されるかは慎重に見極める必要がある。Microsoftの設計が今後も合理性と多様性を両立するものとなるかが、OSの評価を左右する要因となる。

Source:How-To Geek