Microsoftが提供するWindows 11 バージョン24H2において、セキュリティドライバー「sprotect.sys」との競合が原因でシステムクラッシュが多数報告されている。特にSenseShield Technologyの提供する同ドライバーの特定バージョン(1.0.2.372および1.0.3.48903)が、ブルースクリーンや応答不能といった重大な障害を引き起こしている。
この問題を受け、Microsoftは該当ドライバーが存在する環境へのアップデート配信を即時停止し、暫定措置としてロールバックや更新プログラムの削除といった対処法を案内。企業向けセキュリティソフトに依存した形で導入されることの多いこのドライバーが、一般ユーザーにも影響を与える可能性がある点に懸念が広がっている。
Windows 10のサポート終了が迫る中、アップデート移行を進める多くの利用者にとって、本問題は信頼性確保の観点から無視できない障害事例となりうる。
セキュリティドライバー「sprotect.sys」に起因するシステム障害の実態

今回の障害は、SenseShield Technologyが提供するドライバー「sprotect.sys」がWindows 11 バージョン24H2と競合することで発生しており、対象となるのはバージョン1.0.2.372および1.0.3.48903である。
Microsoftはこのドライバーが特定アプリケーションに依存せず、多様な企業向けセキュリティソリューションを通じてインストールされることを明らかにしている。このため、事前に自覚のないまま対象環境が構築されているケースもある点が問題を複雑化させている。
不具合の症状としては、システムの応答停止、ブルースクリーン、さらにはブラックスクリーン状態でのフリーズなど、致命的なエラーが報告されており、アップデートの適用直後に発症する例が多い。Microsoftは状況の深刻さを踏まえ、該当ドライバーが存在する端末へのアップデート配信を一時的に遮断し、手動インストールも控えるよう警告を発している。
すでに影響を受けたユーザーに対しては、旧バージョンへのロールバックや更新プログラムの個別アンインストールといった対応策が案内されているが、いずれも一定の技術的ハードルが存在する。このため、企業内IT部門にとっては対応の遅延や業務停止リスクが現実のものとなりつつある。
Windows 10終了と24H2障害の同時進行が生む移行のジレンマ
Windows 10の公式サポートが2025年10月に終了を予定している中、Windows 11への移行は時間の問題とされてきた。しかし、今回の24H2における深刻なシステム障害は、移行計画を進めていた組織や個人にとって、大きな見直しを迫る契機となっている。特にセキュリティソフトとの連携が不可欠な業種では、今回のドライバー競合が想定外のインシデントとなり得る。
Windows 11 24H2は、2024年10月の初出以来、複数のバグや互換性問題が浮上しており、今回の件もその一端に過ぎない。Microsoft側はすでに多くの修正を講じているものの、安定性に対する信頼は十分に回復していない。企業利用においては、信頼性の担保が導入判断の前提となるため、移行のタイミングを慎重に見極めざるを得ない状況が続いている。
また、今回の競合ドライバーが「広範なアプリケーションを通じて導入されうる」とされている点は、非IT専門職の利用者にとっても無視できない脅威である。アップデートを自動的に受け入れている環境では、予期せぬシステム障害が生じる可能性が高まっており、今後はOSだけでなく周辺ソフトウェアの選定に対しても、より精緻なリスク評価が求められるだろう。
Source:ZDNET