AMDの次世代モバイル向けCPU「Ryzen 9 8940HX」の存在が、複数の独立したリークによって明らかとなった。16コア32スレッド構成、最大5.3GHzのブーストクロック、合計80MBのキャッシュという構成で、Zen 4アーキテクチャを踏襲する。前世代の7940HXと比較して100MHzのクロック向上が確認されており、大幅な性能向上ではないものの、価格次第で高いコストパフォーマンスが期待される。
本モデルは、ASUSのROGシリーズ2025年モデルに搭載され、中国国内では約14,000元(約1,900ドル)で販売が確認された。GPUにはGeForce RTX 5070 Tiを採用し、CPU集約型の用途を主眼とした構成と見られる。AMDの正式発表は未だなされていないが、「Dragon Range Refresh」シリーズの実在と早期リリースの可能性を示唆する動きとして注目される。
AMD Ryzen 9 8940HXの構成と性能 前世代からの変化を読み解く

Ryzen 9 8940HXは、Dragon Range RefreshとされるRyzen 8000HXシリーズの中核を成すモデルである。Zen 4アーキテクチャを基盤とし、16コア32スレッドという構成を採用する点はRyzen 9 7940HXと共通だが、最大5.3GHzというブーストクロックは前世代より100MHz高い。
キャッシュはL2+L3の合計で80MBに達し、64MBのL3は従来から引き継がれている。これらの情報は、同モデルが性能微調整によって既存ラインの改訂を図った存在であることを示唆する。
現時点で明らかとなっている仕様だけを見る限り、大幅な世代交代というよりは、最適化を目的とした小規模なアップデートに留まる可能性が高い。
Dragon Range Refreshという名称も、従来の構造を再活用しつつ、高負荷用途に耐える信頼性を保つ意図があると見られる。正式な技術仕様は未発表だが、リークされた構成情報が正確であれば、8000HXシリーズはモバイル向けハイパフォーマンス分野において堅実な地位を確保し続けるものとなるだろう。
ASUS ROGモデルでの搭載確認と価格帯が示す市場戦略
Ryzen 9 8940HXが初めて確認された具体的な製品は、ASUSのROGブランドに属する2025年モデルのノートPCである。中国国内の小売業者により13,999元(約1,907米ドル)で販売されており、GeForce RTX 5070 Tiとの組み合わせによって構成されている。
ハイエンドGPUとの同時搭載は、本機がゲーミングおよび高度なクリエイティブ用途を強く意識した製品であることを示している。製品ラインナップとしては、CPUの絶対的な刷新よりも全体の性能バランスを重視した戦略と見るべきだ。
価格設定は競合製品と比べて突出した割高感はなく、Ryzen 8000HXシリーズの市場投入において価格対性能の釣り合いを強く意識している様子がうかがえる。
Dragon Range Refreshという位置づけ自体が、新設計を一から導入するよりも、既存資産を活用しつつ製品価値を最大化する方向性であるため、ASUSの構成戦略もそれに呼応したものと捉えることができる。正式発表前の段階ながら、製品の方向性と価格が整合している点は、供給計画と市場投入の準備が既に進んでいることを裏付けている。
Source:Wccftech