NVIDIAの次期GPU「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」に関する最新の出荷マニフェスト情報により、両モデルがGDDR7メモリおよび128ビットメモリバスを搭載する可能性が高まった。メモリ帯域幅は前世代比で50%超の向上が見込まれるが、VRAM容量が8GBに留まるとの見方が一部ユーザーの懸念を招いている。

とりわけRTX 4060世代で指摘された容量不足の課題が解消されない可能性があり、今後数年を見据えた性能要件への対応に疑問が呈されている。VRAMの構成は、特に価格と性能のバランスを求める層にとって最も注視すべき争点といえる。

一方で、GDDR7による帯域拡張は事実上の性能向上と捉える向きもあり、RTX 5060シリーズの全体的な完成度は、今後の正式発表および価格設定に左右される見通しだ。

GDDR7と128ビットバス採用の背景と性能上の意義

出荷マニフェスト上で確認された「PG152ボード」と「GB206チップ」の記載により、「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」がGDDR7メモリと128ビットメモリバスを搭載する可能性が高まった。

前世代のRTX 4060が採用していたGDDR6からの移行は、帯域幅の向上を伴う明確な進化であり、最大で448GB/sのメモリ帯域が実現されると見込まれている。これはRTX 4060に比して50%を超える性能向上となり、描画処理や高負荷ゲームのパフォーマンスにおいて一定の効力を持つ構成である。

ただし、128ビットというバス幅自体はロー〜ミドルレンジGPUの範疇を出るものではなく、プロセス微細化による電力効率の改善や、GDDR7のクロック向上がなければ帯域の優位性も限定的となる可能性がある。

注目すべきは、こうした構成が「Blackwell」アーキテクチャとされる新世代においても継続されている点であり、NVIDIAがこのセグメントにおける設計方針を大きく変更していないことを示している。消費電力、価格帯、供給計画といった複合的な事情が絡む中での最適解を追求した結果と見るのが妥当だろう。

8GB VRAM構成への懸念とRTX 5060シリーズの将来性

NVIDIAが「RTX 5060」に8GBのVRAM構成を採る可能性があることが明らかになったことで、前世代で問題視された「容量不足」が再び注目されている。

RTX 4060および廉価モデルの4060 Tiでも、8GBという容量が一部のゲームにおいて高解像度やテクスチャ品質設定を制限する要因とされており、プレイヤーの不満を招いた経緯がある。この点において、5060シリーズが同様の仕様を踏襲するならば、ミドルレンジGPUとしての訴求力に陰りが生じる恐れがある。

現時点では「RTX 5060 Ti」に16GBモデルの存在が示唆されており、仮に実現すればハイパフォーマンス志向の層には一定の解決策となり得るが、価格の上昇は避けられない。結果として、価格対性能比に敏感な市場での評価は二分される可能性がある。

重要なのは、VRAMがゲームだけでなく生成AIやクリエイティブ用途にも波及的な影響を及ぼす時代において、その容量設計が「将来的な適応力」に直結する点である。RTX 5060シリーズが果たすべき役割は、単なる現行ゲーム対応に留まらず、中期的な利用価値を維持できるかにかかっている。

Source:TweakTown