トランプ前大統領が先週発表した包括的な輸入関税が、株式市場と特定の投資信託に深刻な打撃を与えている。S&P500は2日間で11%下落し、特にアーク・イノベーションETFは14%の急落、年初来では約29%の下落を記録した。モーニングスターの報告によれば、財務基盤が脆弱な小型株や投機的銘柄を中心とするファンドが大きな損失を被っている。
フィデリティやロイスといった著名ファンドも同様に2桁の下落率を記録し、市場全体の不透明感が高まっている。
アーク・イノベーションETFに集中するリスク テスラやロブロックスの急落が波及

キャシー・ウッドが運用するアーク・イノベーションETF(ARKK)は、テスラやロブロックスなど高成長を期待された個別株への集中投資が特徴であるが、今回のように関税政策が打ち出された局面では、その構造が脆さとして表面化する。同ファンドは、2025年に入りすでに約29%下落しており、S&P500の15%下落を大きく上回る形となっている。トランプ前大統領が提唱した“相互主義”に基づく輸入関税は、ハイテク株やグロース株に対して直接的かつ急激なコスト上昇要因となるため、ARKKのようなポートフォリオは特に打撃を受けやすい構造である。
注目すべきは、この2日間でARKKが14%も急落したという事実である。主要構成銘柄であるテスラやロブロックスは共に大幅に値を下げ、ファンド全体の評価額を押し下げた。モーニングスターの分析でも「財務基盤の弱い、成長性依存の企業群が最も被害を受けた」と指摘されており、これはARKKの構成銘柄そのものである。このような構造的リスクは、ファンドが短期の市場変動に対して脆弱であることを意味し、分散投資の重要性を再認識させるものと言える。
スモールキャップに潜む「二面性」 ロイスとフィデリティが証明した投資リスク
ロイス・スモールキャップ・オポチュニティファンドとフィデリティ・レバレッジド・カンパニーストックファンドは、今回の関税ショックによりそれぞれ13%、14%の下落を記録した。いずれも中小型株や信用格付けの低い企業に重点を置いており、「安値拾い」「逆張り」の姿勢が際立つポートフォリオである。モーニングスターのダン・カロトンは、こうした投資手法が「宴か飢餓か」という極端なパフォーマンスを生みやすいと分析し、特に経済の逆風に対しては過剰なリスク要因となる可能性を示唆した。
事実として、ロイスファンドは230銘柄以上に分散されているにもかかわらず、わずか2日間で1割を超える下落となった。このことは、単なる分散だけでは市場の外的ショックを防ぎきれない構造的問題を浮き彫りにしている。また、フィデリティのファンドも過去5年では上位5%にランクインしていたものの、10年スパンでは下位10%という不安定な実績を示しており、特定局面での強さが長期的な信頼性につながるとは限らないことを物語っている。今回の市場変動は、リスクとリターンのバランスを見誤った結果ともいえる。
Source:msn