ARK Innovation ETFを率いる著名投資家キャシー・ウッドが、約1年ぶりにNVIDIA株の大規模取得に踏み切った。買付けは同ETFで151,979株、約1,480万ドル相当であり、AI銘柄としての評価を再認識した動きと捉えられる。

取得の背景には、米国政府による新関税発表後のNVIDIA株14.6%急落があり、1月高値からは実に37%の下落となっていた。過去に「チェック・ザ・ボックス株」と位置づけていたウッドが、再びフラッグシップファンドに組み入れた意義は大きい。

NVIDIAは同ETF内で32位の保有比率(0.33%)だが、AI革命が進行する中で今後の比重拡大の可能性も注目される。

ARK Innovation ETFがNVIDIA株を再取得した背景と規模

2024年の半ばまで続いたNVIDIA株の上昇局面を見送っていたARK Innovation ETFが、突如として再取得に動いた。4月上旬に151,979株を約1,480万ドルで購入し、同ETFにおけるNVIDIAの保有比率は0.33%となった。これは、1月に記録した149.43ドルの過去最高値から株価が37%下落し、同年4月5日には11カ月ぶりの安値を付けた直後のタイミングである。

ARKは一時的にNVIDIAを主力ポートフォリオから外していたが、それはAI分野のハードウェアよりもソフトウェアへの投資機会に着目したためとされる。2024年2月のWall Street Journalのポッドキャストでは「AIハードに1ドル投資されれば、AIソフトには10ドルが投資される」と言及していた。しかし今回の購入は、価格調整を経た今の株価に割安感を見出したこと、そして依然としてAIの中心にNVIDIAが位置しているという判断を示す。

この再取得は、従来の「過小評価からの大化け株」を選ぶARKのスタイルに回帰するものと捉えられる。小規模な他のETFではすでに保有されていたが、最も注目度の高いARK Innovation ETFでの保有開始には、明確な市場シグナルとしての意味が込められている可能性がある。

NVIDIA株急落とAI市場の変化に対するARKの対応戦略

NVIDIA株の急落は、米国トランプ政権による対中関税の再導入報道を受けた市場の反応によるものであり、2日間で14.6%の下落という異例のスピードで起こった。これにより、2023年から2024年にかけて続いたAIブームによる過熱感に一服感が広がった形だ。NVIDIAの株価は高騰を続けていたが、この下落はAIセクター全体にとって調整局面の始まりとも捉えられた。

一方で、ARK側はAIを依然として「過去最も破壊的な技術」と位置付けており、急落局面でこそ機会があるとの認識を持つ。ARKのチーフ・フューチャリストであるブレット・ウィントンは、AI革命の進行速度が半導体分野の4〜6倍に及ぶと指摘している。この見解を踏まえれば、短期的な調整を理由に長期投資の方向性を変えることは一貫性に欠けるという認識であろう。

今回の再取得は、単なる買い戻しに留まらず、市場におけるAIの本質的価値と長期的成長を重視する姿勢を鮮明にするものといえる。価格変動の波を乗り越え、より持続的なポジションを構築する狙いが背景にあると見られる。NVIDIAが再びARKのコア資産となるかどうかは、今後の買い増し動向に委ねられている。

Source:msn