ビットコインが一時74,000ドルまで下落した局面で、大口投資家による買いが活発化し、蓄積トレンドスコアがGlassnodeの基準で「完璧」とされる1.0に達した。特に10,000BTC以上を保有するウォレットの動きが顕著で、4月初旬には15日連続の蓄積が確認されたほか、1,000BTC超を保有する新規エンティティも2ヶ月で76件増加。

これにより、弱気相場下でも一部の資金が強い信頼感を維持している一方、小口投資家の動向には投げ売り傾向も見られ、資金層の二極化が進行している。

クジラ主導の蓄積がもたらす市場構造の変化

オンチェーンデータ分析企業Glassnodeの報告によれば、10,000BTC以上を保有する大口ウォレットが15日連続で買い増しを行い、蓄積トレンドスコアが1.0に達した。これは、大口の買い行動が例外的な一貫性を持って継続されたことを示す指標であり、BTC価格が74,000ドルに下落した局面でもその流れは揺るがなかった。さらに、4月2日時点でも0.6付近を維持し、過去の高値87,000ドル圏でも蓄積は止まっていない。

こうした行動は、大口投資家が短期的な価格変動に惑わされることなく、長期的視点での保有戦略を選択していることを示唆する。一方で、1〜100BTCの保有者においては、スコアが0.2未満と著しく低く、キャピチュレーションに近い動きが見受けられる。市場全体が下落傾向にある中で、小規模保有者がリスクを嫌い手放す構図と、大口がその局面で買い支えるという非対称性が浮き彫りになっている。

この構図は、相場のボラティリティが高まる局面において、価格形成の主導権が少数の資金力に偏る危険性をはらんでいる。過去の強気相場とは異なり、今後はこうしたクジラの蓄積行動が市場の方向感に与える影響がさらに大きくなると見られるため、投資家は資金構造の偏在を前提に市場を読み解く必要がある。

新たなエンティティの参入と機関投資家需要の高まり

テクニカルアナリストのAli Martinez氏が指摘した「Bitcoin Number of Entities」の動向は注目に値する。過去2ヶ月間で1,000BTC以上を保有する新たなエンティティが76件増加し、4.6%の上昇を記録した。これは、既存の大口投資家による蓄積のみならず、新規参入組による買い支えが存在していることを示しており、単発的な反発とは一線を画す。

このような実体数の増加は、個人投資家というよりも、複数のアカウントを集約して保有する法人格、あるいは機関投資家の存在を強く示唆する。特に、価格下落時にも積極的な買いが行われていたことは、短期利益を狙った投機ではなく、リスク管理を前提とした中長期運用の意思を読み取ることができる。

仮想通貨市場においては、こうした機関投資家の動向がボラティリティの抑制と安定的な価格形成に繋がるという期待がある一方で、流動性が限られた局面では価格急騰・急落の引き金にもなりうる。したがって、このエンティティ増加を単なるポジティブ要因として捉えるのではなく、資金力に基づく価格支配の可能性を踏まえた警戒感も併せ持つべきであろう。

Source:Bitcoinist.com