著名ベンチャーキャピタリストのティム・ドレイパーが、トランプ前大統領による包括的関税政策に全面的な支持を表明した。ドレイパーは、これを米国の善意に乗じてきた外国への必要な対抗措置と捉え、グローバルな経済リセットと位置づける。
さらに彼は、中国への報復関税を巡る緊張に触れ、習近平国家主席を「社会主義的で弱いリーダー」と名指しで批判。自国中心の政策がイノベーションの障壁になると警鐘を鳴らした。
一方で、FRBの金利政策にも懸念を示し、米国でのスタートアップ支援強化とビットコインへの資金流入が進む可能性に言及。米中対立の激化がデジタル資産市場に与える影響も注視される。
ドレイパーが称賛する関税政策と「イノベーションの再起動」

ティム・ドレイパーは、トランプ前大統領の一連の関税政策を「アメリカの寛容さに対する正当な反撃」と位置づけ、国内産業の再活性化と技術革新の推進につながると評価した。ドレイパーによれば、米国は長年にわたり他国から善意を利用されてきたとし、今こそ経済的主導権を取り戻すべきと強調した。トランプが提唱する10%の包括関税や中国に対する104%の関税措置を、ドレイパーは「不労所得の終焉」と呼び、米国が自らの強みを再構築する転換点と捉えている。
事実として、今回の関税政策は一部の輸入品コストを押し上げるとの懸念がある一方、国内生産を促す効果も指摘される。加えて、ドレイパーはFRBの金利政策にも言及し、「スタグフレーションを恐れすぎてイノベーションの芽を潰してはならない」と述べた。金利の柔軟な運用こそが、新しい雇用創出と起業活動の推進に繋がると見ている。
経済の強制的な揺り戻しが、結果として米国の技術投資と起業家精神の喚起を後押しするかは不確定だが、少なくともドレイパーはこの摩擦の先に「成長機会」を見ている節がある。危機を突破口とする彼の視座は、現在の政策環境における一つの重要な論点である。
習近平批判の背景にある「国家観」とグローバル秩序への警告
ドレイパーは中国国家主席・習近平を名指しで批判し、「社会主義的で弱いリーダー」と断じた。その理由として、国家の利益よりも指導者のエゴが優先される体制構造を指摘し、相互的な貿易協定を築けないリーダーではグローバル秩序は成立しないと訴えた。特に、中国が報復関税を選択した背景には、米国主導の経済圧力への応戦姿勢があるが、それが結果として閉鎖性を深めていると分析している。
この発言は、4月9日に米国が中国製品に最大104%の関税を課した措置と直接関連している。中国商務省が「最後まで戦う」と表明したこともあり、米中間の緊張はさらに高まっている。ドレイパーはこの対立を通じて「経済合理性よりも政治的プライドが先行するリーダーシップは、国家の発展を妨げる」と警鐘を鳴らした。
加えて、ドレイパーは「実利を重んじるリーダーであれば障壁を下げ、相互依存の形で関係を築くべき」とも述べており、その観点から習体制の硬直性と孤立化リスクを強調している。イノベーションを育む土壌には、開放性と協調性が不可欠であるという含意が読み取れる。指導者の姿勢が、経済の未来を左右するとの視点は重い意味を持つ。
Source:Bitcoin News