Xiaomiが開発中とされる「チップパフォーマンスダッシュボード」が、MIUIのAndroid 16向けファームウェア内コードから発見された。
この機能は、ユーザーがCPUやGPUの各コアに対して周波数や電圧を安全な範囲で手動調整できるもので、再起動時に実行されるシステムチェックを経て有効化される。
ブートローダーのアンロックやカスタムカーネル導入を避けつつ端末性能をカスタマイズ可能とする本機能は、Xiaomi 15シリーズなどの上位機種に搭載される可能性が指摘されている。


Xiaomiが開発中の「チップパフォーマンスダッシュボード」とは何か

MIUIのAndroid 16向けファームウェア内に含まれるコード文字列から、Xiaomiが新たに開発しているとされる機能「チップパフォーマンスダッシュボード」の存在が明らかとなった。リーカーのKacper Skrzypek氏が発見したこの機能では、ユーザーがCPUおよびGPUの各コアグループ(ビッグ、ミディアム、スモール、GPU)に対し、周波数および電圧を個別に設定できるとされている。これらのパラメータ変更は、端末の再起動と「周波数検証」プロセスを経て初めて有効化される。

このシステムチェックに通過しない場合は、初期設定に自動で復元される仕組みであり、不具合の発生を抑止する安全設計が施されている。コードには「正常起動チェック成功」「デフォルト設定への復元」などの文言が含まれており、チューニングが端末動作に影響を与える可能性を前提とした堅牢な制御構造が構築されていることがうかがえる。

現時点でこの機能は、どのXiaomi製品にも実装されておらず、Android 16未対応端末では非対応となる可能性が高い。また、ハードウェア構成や熱制御に関わる制限から、フラッグシップモデルのXiaomi 15シリーズなどに限定して展開されるとの推測もある。

カスタマイズの自由と安全性を両立するXiaomiの狙い

スマートフォンのCPUやGPU性能を直接制御するという機能は、かつてのカスタムROMやカーネルの領域に近く、一般的な用途においては求められにくい。しかし、処理負荷の高いゲームやAIアプリケーションなどの利用において、ユーザーが自らの判断でパフォーマンスとバッテリー消費のバランスを調整できる選択肢は、限られた層にとって大きな価値を持つ。

Xiaomiは近年、ブートローダーのアンロックを制限しており、従来の方法による高度な端末チューニングは困難になっている。そうした制約の中で、標準OS機能としてオーバークロックやアンダークロックの選択肢を提供することは、セキュリティと自由の両立を図る戦略と考えられる。SafetyNetやDRM制限を維持しつつ、カスタマイズを可能とする本機能は、従来のルート化リスクを排除しながらも上級ユーザーの要求に応える構図となる。

また、許容範囲内に制限された設定変更に加え、起動時検証に基づく自動復元機能の存在は、誤操作によるシステム破損リスクの低減に貢献する。性能競争が成熟しきったスマートフォン市場において、Xiaomiがこのような高度な操作性を標準機能化することは、差別化戦略としての意味合いも強い。多くの端末が「何でも自動化」に傾く中で、「制御権を戻す」設計思想は、特定の利用者層に対して強い訴求力を持つと考えられる。

Source:Android Authority