Googleは「Cloud Next 2025」で、AMDの第5世代EPYC 9005「Turin」プロセッサを搭載した新仮想マシン「C4D」シリーズを正式発表した。最大384 vCPUと3TBメモリに対応し、WebサーバーやAI/ML用途を含む幅広いワークロードにおいて、前世代のC3Dと比較して顕著な性能向上が確認されている。

C4DにはZen 5アーキテクチャやAVX-512、DDR5-6000/6400といった先進技術が投入され、Phoronixによる独立ベンチマークでも高い評価を獲得。GoogleはカスタムSKU「EPYC 9B45」を採用し、Confidential VMへの対応などセキュリティ面も強化している。

今回の検証はUbuntu 24.04環境で実施され、性能評価の中心はvCPU数が異なるC3Dとの比較に絞られたが、それでもC4Dの圧倒的なリードが明らかとなった。価格情報は未公表のため、コスト面での評価は次報を待つ必要がある。

AMD EPYC Turin搭載C4Dインスタンスの性能概要と主要技術の進化

Google Cloudが新たに投入したC4Dインスタンスは、AMDの第5世代EPYC 9005「Turin」プロセッサを採用し、最大384 vCPUおよび3TBのメモリを搭載可能なスケーラビリティを備えている。Phoronixの初期ベンチマークによれば、前世代のC3Dと比較して、Webサーバーやデータベース、CPUベースの機械学習など幅広い領域で一貫した性能向上が確認された。このC4Dインスタンスは、Ubuntu 24.04 LTS、Linux 6.8カーネル、GCC 13.3といった最新のオープンソースソフトウェアとともに検証されている。

EPYC TurinはZen 5アーキテクチャを基盤としており、AVX-512のフル実装やDDR5-6000/6400の高速メモリ対応、ならびにアーキテクチャ的な微細改良を通じて、前世代のEPYC 9004と比較して著しい処理効率の改善が図られている。

また、Googleは本C4Dシリーズにおいて、EPYC 9B45というカスタムSKUを採用し、同時にConfidential VMに対応することで、セキュリティ面にも配慮した設計となっている。これにより、性能と機密性の両立が可能となった点は注目に値する。

第5世代EPYCが示すクラウドアーキテクチャの転換点

Google Cloudの新型C4Dインスタンスは、単なる性能強化にとどまらず、クラウドアーキテクチャそのものの進化を象徴している。特に、2 vCPUから384 vCPUまでの柔軟なスケーリングと、高度な並列処理能力により、多様なビジネス用途への適応力が著しく高まった。これはクラウドの標準インフラがより専門的・演算集約的なワークロードにも対応しうる段階へと到達したことを示している。

また、EPYC Turinが実装するAVX-512やDDR5の導入は、これまでHPCやAI向けの特殊用途に限定されがちだった技術が、汎用クラウドにも標準化されつつある兆候と捉えられる。Confidential VMとの組み合わせによってセキュアな環境下で高負荷演算を行える構成は、特に金融や医療、政府系のデータ処理需要において今後重要性を増す可能性がある。今回のC4Dリリースは、クラウドの「汎用性」と「専門性」の融合が加速する分岐点に位置づけられる。

Source:Phoronix