Appleの株価が2025年4月9日、1日で15%上昇し198.22ドルを記録、時価総額は3兆ドルに迫った。これは過去25年で最悪とされた直近4営業日からの劇的な反発であり、背景にはトランプ大統領による関税措置の変更がある。
具体的には、中国製品への関税が125%に引き上げられた一方で、他の関税については90日間の一時停止が発表された。Appleは生産拠点の大部分を中国に依存しているが、関税免除の可能性に投資家が反応し、株価が急騰した。
ただし、Appleの複雑なサプライチェーンを米国に移すには膨大なコストと時間がかかるため、関税リスクは依然として高い。市場の高揚が持続するかどうかは、今後の政策動向次第と見られる。
関税一時停止とApple株急騰の因果関係

2025年4月9日、トランプ大統領は10%を超える関税の一部を90日間停止する方針を打ち出した。これにより、米国市場では短期的な不透明感が後退し、Apple株が急騰する直接的な引き金となった。実際、同日のApple株は15%上昇し、1株あたり198.22ドルをつけた。
これは、過去4営業日での急落を一気に打ち消す異例の反発であり、市場心理の脆弱さをも映し出している。AppleはiPhoneをはじめとする主力製品の大部分を中国で生産しており、125%という高関税の影響を受ける可能性が高い。
しかし、トランプ大統領が特定の米国企業への関税免除の可能性に言及したことが、Appleが再び適用除外となるとの期待を呼び、株価上昇を加速させた。短期的な株価の回復は市場に安心感を与える一方で、今後90日間の政策判断次第では再び激しい変動が生じることも否定できない。
Appleの供給網と移転困難性が示すリスクの本質
Appleは長年にわたり、コスト競争力と規模の経済を背景に、中国に広範なサプライチェーンを構築してきた。部品供給から組み立てに至るまで高度に統合された構造は、短期的に他国や米国内へと移転できるような柔軟性を持たない。
トランプ政権は国内製造への回帰を促しているが、Appleにとっては非現実的な要請に近い。製造コストの上昇は価格転嫁を招き、消費者需要に影響することも想定される。サプライチェーンの地域偏重がもたらす政治リスクは、今回の関税政策のような外的要因によって企業価値が大きく揺らぐ脆さを露呈している。
Appleが今後も高成長を維持するには、インドや東南アジアなどへの生産拠点の分散といった戦略的再構築が不可欠となろう。しかし、これは長期的な取り組みであり、当面は関税政策の波をいかに乗り切るかが試される局面といえる。
Source:The Motley Fool