IntelがディスクリートGPU市場から撤退しない方針を明確にし、新たな求人情報から同社の本格的な開発強化の動きが浮上した。注目すべきは、第2世代「Battlemage」の評価を踏まえつつ、既存のエントリー向け製品群に留まらず「はるかに高い目標」を掲げている点である。
新CEOリップ・ブー・タン氏の下、社内構造改革と並行して進められる今回の人材募集は、グラフィックスSOC部門のほぼ全領域におよぶ大規模なもので、真の上位モデル開発の布石と捉えることもできる。競合のNvidiaやAMDに対抗すべく、IntelはAI機能「XeSS」の進化や最新ゲームへの最適化も進めており、次なるGPU展開への注目が高まる。
IntelがディスクリートGPU分野で求人を加速 Battlemage後の開発体制強化が明らかに

Intelは、X(旧Twitter)ユーザーHaze2K1によって発見された求人情報により、ディスクリートGPU(dGPU)部門における開発体制の拡充に本格的に着手している事実が明らかとなった。該当する募集は、グラフィックスSOC部門のほぼ全領域にわたり展開されており、単なる技術補完にとどまらず、組織全体の刷新を視野に入れた大規模なものである。これにより、Intelがエントリーモデルの「Arc B580」「Arc B570」に続く高性能モデルの実現を視野に入れていることが示唆される。
同社のCEOであるリップ・ブー・タン氏の主導のもと、現在は企業文化と技術戦略の両面で変革が進められており、このタイミングでの採用活動は偶然とは考えにくい。特に、「はるかに高い目標」という表現からは、これまでの市場投入製品とは一線を画す性能帯への挑戦が前提にあることがうかがえる。
既に第2世代GPU「Battlemage」は市場で一定の評価を得ており、その後継がどのような構成で登場するかが、Intelの将来的なポジショニングを左右するだろう。
エントリーモデルから脱却なるか GPU競争下でのIntelの戦略的立ち位置
現在のIntel製ディスクリートGPUは、主に300ドル未満の価格帯に集中しており、性能的にもエントリーからミドルレンジ市場にとどまっている。対照的に、NvidiaはハイエンドGPU市場で圧倒的なシェアを維持し続け、AMDは「RX 9070 XT」といった高性能モデルでユーザー層の支持を得ている状況にある。この中でIntelが既存の市場構造を崩すためには、単なる価格競争ではなく、性能と技術革新の両輪を備えた製品展開が求められる。
Intelは近年、統合型グラフィックスの品質向上やAI機能「XeSS」の開発に注力しており、こうした技術蓄積がdGPU分野に波及することは想定される。特に、「XeSS 2 SDK」のオープンソース化は、開発コミュニティとの連携を強化し、ソフトウェアとハードウェアの最適化を進める意図を含むものと解釈できる。製品ラインナップの拡充とともに、ゲーミング市場での存在感を高めるには、過去の失敗を糧に着実な製品完成度と持続的なサポートが不可欠である。
Source:PC Guide