サムスンが2021年からGalaxy Z Foldシリーズに導入してきたアンダーディスプレイカメラ(UDC)について、次世代モデルZ Fold 7を最後に採用をやめる可能性が浮上した。韓国のリーカーyeux1122氏の投稿によれば、同社はUDCのコスト効率や性能面での限界を感じており、Z Fold 8以降では通常のパンチホール型カメラへと回帰する案が浮上しているという。

すでに韓国・中国限定で発売された特別版モデルでUDC非搭載のテストを行っていたことも、その兆候として注目される。今後の方向性は未確定だが、サムスンがディスプレイ完全一体型カメラの理想をいったん棚上げする動きは、スマホ設計の転換点となるかもしれない。

Z Foldシリーズに限定されたUDCの採用経緯とその実態

サムスンは2021年の「Galaxy Z Fold 3」からアンダーディスプレイカメラ(UDC)を導入し、その後「Z Fold 4」「Z Fold 5」へと連続して搭載してきた。画面内にカメラを隠す構造によりノッチやパンチホールのないフルスクリーン表示を実現するこの技術は、映像コンテンツの没入感を重視する層には魅力的な要素だった。一方で、採用されてきたのはFoldシリーズに限られており、Galaxy Sシリーズなどの他ラインには未搭載のままである。

UDCの最大の課題は、画質とコストの両立である。ディスプレイ越しに撮影するという構造上、従来のカメラと比較して画質が劣ることは避けられず、加えて複雑な構造や製造の難しさからコストも高止まりしていた。韓国のリーカーyeux1122氏の投稿によると、サムスンはUDCの改善が進まないことを懸念し、次世代の「Galaxy Z Fold 7」までは継続するものの、それ以降のモデルでは別方式への移行を視野に入れているという。既に韓国・中国限定で発売された特別仕様のZ FoldでUDC非搭載モデルを展開したという事実は、同社が方向転換のシミュレーションを終えている可能性を示唆する。

この流れが確定すれば、UDCはFold 7で一区切りとなる可能性がある。ただし、Galaxy Z Fold 7には改良型UDCが搭載されるとの情報もあり、サムスンが最後まで技術成熟を試みている姿勢も見て取れる。

完全なフルスクリーン体験の理想と現実

ノッチやパンチホールの存在は、多くのスマートフォンユーザーにとって視覚的なストレス要因となり得る。特に映像鑑賞やゲームプレイ時には、ディスプレイ上の切り込みが没入感を削ぐという声も少なくない。その中でサムスンが展開してきたアンダーディスプレイカメラは、こうした煩わしさを排除する試みとして期待されていた技術であった。しかし、理想のフルスクリーン表示と実用的な撮影性能の両立は、容易ではなかったようだ。

ディスプレイを透過して撮影を行うという構造上、カメラの明るさや鮮明さに限界がある。また、ディスプレイの透明度やピクセル配置との兼ね合いも難しく、特にビデオ通話や自撮りの際には従来型カメラと比べて明らかな品質差が指摘されてきた。こうした現実的な課題に対し、サムスンが抜本的な解決策を打ち出せなかったことが、今回のUDC撤退の方向性と重なる。

ただし、Foldシリーズは折りたたみ構造の特性上、メインカメラを用いた自撮りが可能なため、UDCの弱点をある程度カバーできていた。その意味で、FoldだけがUDCを搭載してきた理由も理解できる。一方で、UDCがZ Foldシリーズの象徴的な存在でもあったことを考えると、これを捨て去るという判断は、一つの節目と言えるだろう。今後は新たなフルスクリーン技術の模索が、ユーザー体験の鍵となっていくかもしれない。

Source:Android Police